アメリカ成長株:キャボット(Cabot)の概要キャボット
Cabot Corp.
ティッカーコード:CBT
上場市場:NYSE(ニューヨーク証券取引所)
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/CBT/annual
キャボット社の事業は輸送、インフラ、環境、消費財の幅広い分野に渡っていますが、その中心は“カーボンブラック”と呼ばれるゴム・プラスチック製品の添加物の製造です。
カーボンブラックとはその名の通り真っ黒な粉末で、簡単に言うと木や石油などの炭素を多く含むものを燃やした際に煙突につく“スス”のようなものです。
煙突のススには様々な種類の炭素の燃焼物が含まれていますが、材料の選択と熱処理の仕方によって特定の性質・機能を持つ均質なカーボンブラックを作ることができます。
このカーボンブラックをゴムやプラスチックに混ぜると強度や紫外線耐性を高め、電気伝導性を変化させる効果があり添加剤として様々な工業製品に使われています。
同社のカーボンブラックは以下の用途で使われています。
・タイヤとゴムパッキンなどの自動車の防水部品
・スマホ・タブレットのタッチスクリーン
・インクジェットプリンターのインク
・コピー機のトナー
・上水の送水管に使われるポリエチレンパイプ
・バッテリー部品の電気伝導性プラスチック
・水溶系、溶剤系接着剤
・弾力性ゴムのエラストマー
雑貨店にあるようなプラスチック・ゴム製品はカラフルだけどすぐに劣化して壊れてしまいますが、ホームセンターで見かける長期間強度を保ち日光に耐えることが求められるタイヤやプロ仕様の堅牢な建材・資材のほとんどは黒い色をしています。
白い方が光を反射するから黒よりも日光に強いと誤解されがちですが、カーボンブラックが紫外線を吸収して樹脂を守るため逆に強くなります。
筋力トレーニング用のゴムチューブは色とりどりのフィットネス商品よりもカーボンブラックを添加した真っ黒な自転車のチューブの方が圧倒的に長持ちするのはそのためです。
様々な役に立っているカーボンブラックですが、PAH(多環式芳香族炭化水素)と呼ばれる発ガン性の化学物質が含まれる場合があります。
PAHは化石燃料の排ガス、使用済み潤滑油、タバコの煙に多く含まれるもので吸い込んだり皮膚に接触した場合の健康被害が問題となっています。
同社の工業用カーボンブラックはPAHが低く抑えられていて、環境基準を満たしながら添加物としての機能も維持することに成功していて高く評価されています。
同社の事業は輸送、インフラ、環境、消費財に関わりがあり、
・バッテリーのエネルギー貯蔵効率を上げて再生可能エネルギーをサポートする。
・人体や飲料水と接触する部分のゴム・プラスチックの有害成分を減らす。
・タイヤの転がり抵抗を下げて自動車の燃費を向上させる。
・製品の寿命を伸ばして廃棄物を減らす。
・上水道の漏水を減らす。
など全般にわたって環境改善・環境負荷低減に貢献しています。
2022年にはNewsweekから最も責任のある企業の一つに選ばれていて、ESG(環境・社会・ガバメント)において優れた社会的責任の実績と報告の高い透明性が認められています。
ゴムやプラスチックは産業、インフラのような大規模な施設から雑貨のような人と接する製品まで幅広く使われていて、環境・健康への影響が大きいのです。
カーボンブラックは一見するとただの黒い粉ですが、材料と熱処理の組み合わせの検討によって電気伝導性、補強性、色、紫外線耐性、粒子の大きさ、親油性・親水性、表面の形状、凝集度など様々な機能や特性を持たせることができます。
今後の開発で新たな添加剤が生まれて産業・インフラに効率化をもたらす可能性があり、持続可能な社会を目指す上で大きな役割を果たすことになりそうです。
会社ウェブサイト
www.cabotcorp.com
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