アメリカ成長株:アトコア(Atkore)の概要
アトコア
Atkore Inc
ティッカーコード:ATKR
上場市場:NYSE
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/ATKR
今回紹介するアトコア社は、「地味だが確実に成長する会社」の一つです。ニッチだが不可欠な事業で、高いシェアを持っています。
アトコア社は「ビル等の電気設備関係の部品」を幅広く製造・販売しています。具体的には、非居住用建設(ビル等)や住宅向けに使う、次のような器具や部品です。
・各種ケーブル(電気ケーブル、通信ケーブル)
・金属フェンスや鉄条網
・導管 (ケーブル等を通す金属および樹脂製の管)
・電気の端子
電気関係の商品が全体の72%、安全やセキュリティー関係の商品が残りの28%となっています。
1959年に設立された会社で、2016年に上場し、本社はイリノイ州にあります。社員は3700人の中堅企業です。
売上高の89%は米国で、米国経済活動直結の会社といえます。また、市場シェアは高く、同社の主要商品の多くは市場シェアが1位~2位で、多くのシェア1位の商品を持っています。
同社の成長戦略の特徴は、有機的(自律的)成長とM&Aを上手に組み合わせていることです。
有機的成長については、「競争力のある新製品の開発」に焦点を当てています。例えば、MC Glide という製品があります。電線の周りに補強材を巻いた電気ケーブルです。
この製品は「EC&M Magazine(電気工事向けの業界紙)」のワイヤーおよびケーブル部門の「2021年Product of the Year」を受賞しています。
また、M&Aにも積極的で、毎年のように会社の買収を行っています。同社のM&Aは、オーナー経営の中小企業に焦点を当てており、長期間の取引関係をもとに関係を構築します。アトコア社の持つ販売チャネルを通じて販売を行うなど、「かなり関係ができてから」買収となっているようです。もちろん、既存の商品群とのシナジー効果や、購入する事業・会社のバリュエーション分析についても、長い付き合いがあるので間違うリスクが少ないと言えます。
業績はコロナ禍で一時落ち込んだものの、その後急回復から急成長となっています。2021年8月3日に発表となった2021年第3四半期(2021年6月25日までの3ヶ月)の業績は、前年同期比で売上が+121.8%(2.2倍)、粗利益が+254.1%、純利益は+628.0%、となっています。
もちろん、一年前はコロナ禍の真っただ中、最悪の時期でした。しかし、現在の事業成績はコロナ前の水準も大きく上回っています。第3四半期(6月の最終週を基準とした3ヶ月)で比較すると、
2019年 売上高 493百万ドル
2020年 売上高 385百万ドル
2021年 売上高 853百万ドル
となっており、コロナ前の2倍近い水準です。一部M&Aによる影響(28百万ドル)ありますが、ほとんどの成長は既存事業の成長で、売上量の成長に加え、製品価格の回復・上昇もあって、大幅な増収となっています。
アメリカの成長を、地道ながらも直接受けるアトコア社。今後とも注目していきたい会社です。
会社ウェブサイト
www.atkore.com
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