2025年12年19日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1683.85で終わりました。一週間前に比べて-14.56(-0.86%)と反落しました。

主要インデックスのNYダウ(前週末比-0.67%)およびSP500(前週末比+0.10%)と一週間前と同様上下に割れたため、比較が難しい一週間となっています。
割高な大手IT・AI関連株の株価は大きく振れており、市場全体は方向感のない動きが続いています。
従来からコメントしておりますが、大手IT、AI銘柄の割高感は顕著であり、一方で多くの投資家が既に投資ポジションを持っているため、何か理由があれば(ほんの些細な事でも)、これらの銘柄は売られやすくなっています。これまでの上昇スピードが急激であった分、下落率も強烈であり、時価総額数十兆円の銘柄が一日で10%近くも下落するという、信じられないような相場となっています。
一方で、米国小型成長株は、AIやITのウェイトが大型株に比べれば低く、また業種も幅広い分散しています。米国の基本的に高い経済成長率の恩恵を受け、米国第一主義のトランプ政策との相性も、「グローバルに展開する大型銘柄」に比べるとよくなっています。
にも拘わらず、歴史的な割安水準にあります。
主力株(といっても一部の超大型AI、IT銘柄でインデックスが動かされている)に比べて、相対的に有利な点があるとおもっています。(ただし、このようなコメントはこの3年間ずーっと書いてきています。そろそろ、実現化して欲しいと思っています。)
<プライベート・クレジット問題>
この問題はすぐに片付くとは思っておらず、引き続き高い関心を持って見ています。
<外部材料>
従来から以下の3つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
今週も、米国小型成長株にとって、大きな材料はありませんでした。欧州政治は、穏当な選択をしてくれました。
<欧州は、やはり無茶な事でできず、穏当な方法でウクライナ支援>
従来からこのコメントでは、「ロシア凍結資産を活用したウクライナ支援スキーム」の問題を指摘し、「欧州は正気に戻って、欧州の自腹を切ってウクライナ支援をすべき」と書いてきました。
12月18日に行われたEU首脳会談は超長時間の議論となったものの、結局「無茶な事はできず、EUが自腹を切ってウクライナ支援をする」方向となりました。ロシア資産活用スキームは、ユーロクリアやECBへの信頼喪失にもつながる「無茶な」スキームでした。今回の決定は、世界の金融市場にとっては「(馬鹿げた)波乱要因が排除」されたという点で、「純粋に良かった」という感想を持っています。
ロシアがウクライナを消耗させる戦略を取る中で、時間の経過とともにウクライナが「非線形崩壊」するリスクが高まっています。このリスクの高まりを理解している米国は、(非線形崩壊を起こすと何もできないため)、できるだけ早く停戦をさせるべく、ウクライナに圧力をかけています。
しかし、欧州は非線形崩壊自体を起こさせないように、ウクライナを支えるという政策です。
「ウクライナの非線形崩壊が近い」という状況判断は米国と欧州は同じですが、政策の向きが全く逆となっており、この2つの方向の板挟みとなるウクライナは「時間の経過とともに、消耗だけが進む線の上を歩む」、という非常に皮肉な展開になっています。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2025年12月19日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1683.85/6834.50=24.64%、
26週移動平均との乖離は+0.46%でした。

大型株(特にAI,IT)は割高であり、小型成長株は歴史的にみて大型株との比較では非常に安い場所にあります。一方で、政策は金利低下、米国第一主義で、米国小型成長株にとっては追い風です。
現在の歴史的な「ゆがみ」が訂正される相場が来ると期待しています。
→ 2022年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2024年11月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)

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