2025年11年21日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1574.79で終わりました。一週間前に比べて-17.29(-1.09%)と続落しました。

主要インデックスのNYダウ(前週末比-1.91%)およびSP500(前週末比-1.95%)に比べると下落幅はやや小さいものの、絶対水準でも相対的にも弱い動きが続いています。
AI関連株のバリュエーション(割高)についての懸念が一段と高くなっています。発表されたエヌビディアの決算が予想を上回ったにもかかわらず、株価は一日と持ちませんでした。金利引き下げについても、不透明感もあり、株価はさえない動きが続いています。
米国小型成長株は、さすがにここ数週間の「主力からの相対的な負け」が大き過ぎたため、やや下げ率は小さくなっています。しかし、「不透明感が高くなると、小型株は売られる」という傾向があるため、全体的に弱い相場が継続しています。
<プライベート・クレジット問題>
この問題はすぐに片付くとは思っておらず、引き続き高い関心を持って見ています。
<外部材料>
従来から以下の3つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
今週も、米国小型成長株にとって、売り材料はありませんでした。
<ウクライナ戦争の行方>
前回のこのコメントで「ウクライナの継戦能力への懸念が高まり、停戦を探る動きがでるのでは?」と書きました。早速米国から「28条の停戦条件」がウクライナに提示されました。
既に戦況の悪化は隠しがたく、「防衛線が突破されたのでは?」と懸念される個所が複数あります。米国は戦況を分析した結果、「早めに終わらせることが、ウクライナのためになる」と判断したと思われます。
しかし、ウクライナと欧州は、28条の停戦条件が現実化した場合、これまで費やしたことがすべて無に終わります。戦後、取り返しのつかないダメージを受けます。このため、何とか「巻き返したい」という方向に動いています。
「ウクライナを交渉の場でもっと強い立場にする」が、当面の欧州の目標ですが、そのためには「兵隊と兵器と資金」が必要です。「兵器」は、欧州自体の生産量に限界があるため、米国からの購入となるため、兵器も資金問題になります。
資金不足に直面する欧州は「ロシアの凍結資産の活用」で解決しようとしています。しかし、そもそも「負けそうなウクライナ」を助けるために、「勝っているロシアが(今後いろいろあって)惨敗して、賠償金を支払う」ことを前提とする「ロシアの凍結資産の活用スキーム」は、どう考えても無理があります。
だからベルギーも、ロシアからの訴訟が将来発生する可能性が高いため、このスキームに反対しているのです。(ウクライナが勝てそう=ロシアが賠償金を払いそう、ならば、見切り発車しています)
欧州が自腹を切るしか方法はありません。ただし、ウクライナの汚職問題もあり、自腹の切り方には相当な工夫が必要となります。
さらに、資金問題が奇跡的に解決したとしても、「兵隊」の問題は解決しません。ここにきてウクライナがあちこちで急速に領土を失っているのは、「すでに突破された防衛線の出血を止める予備兵がいないから」だと言われています。
問題の本質を理解して、早急に停戦を進めたいアメリカ。本質は理解していても、サンクコストの大きさと、停戦後の結果に恐怖して停戦を先延ばししたいウクライナと欧州。綱引きをしている間に、さらに状況は悪化します。停戦の結果は、欧州政治、経済、そしてグローバルの枠組みにも長期的に大きな影響を与えます。非常に高い関心を持って見ています。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2025年11月21日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1574.79/6602.99=23.85%、
26週移動平均との乖離は-0.16%でした。

再び、さえない動きになってきました。長期的には米国小型成長株は主力株に対して以上な割安水準ですが、なかなか「負けをリカバリー」できる状況になっていません。
しかしながら、トランプ政権の「米国一国主義」は、全体としては米国小型成長株にとってプラスです。長期的なリカバリー相場が来ることを期待しています。
→ 2022年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2024年11月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)

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