2025年10年31日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1686.56で終わりました。一週間前に比べて-0.37%(%)と小幅反落しました。

主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.75%)およびSP500(前週末比+0.71%)に比べて、弱い動きでした。この数週間、週によって相対的な上下がありますが、トレンドとしては、ほぼ同じ動きで推移しています。
中国との貿易戦争は、「とりあえず1年間休戦」となりました。これは、買い材料というより、売り材料がなくなったという感じです。しかし、市場のバリュエーションがかなり高いこと、政府閉鎖の悪影響、プラーベード・クレジット問題などもあり、買い意欲に欠ける一週間でした。
ただし、アマゾン、マクロソフト等の大型IT銘柄の決算内容が予想を上回ったことで、主力インデックスは小幅上昇となりました。
<プライベート・クレジット問題>
数週間前から市場の関心が高まりつつある、プライベート・クレジットについては、今週も新たなニュースが出ました。
ブラックロックが運用しているファンドが、2つの通信会社(ブロードバンド・テレコム社とブリッジボイス社)が融資を受けるために使った売掛金を水増しした、として訴訟を行いました。
前回のこのコメントにも書きましたが、サブプライムの時は、「最初は、大したことない」→「次々と問題が五月雨的に発生」→「そのうちに、とんでもないことになっていることがわかる」とプロセスを辿りました。
今回のプライベート・クレジット問題も、現時点では似たような感じになっています。
10月にはこのような投資を行う上場ファンド(ETF)から15億ドルの資金流出があったとのことです。資金流出→債権の売却→おかしい債権が表面化する、という流れが一段と強まります。引き続き、この問題については高い注意が必要です。
<外部材料>
従来から以下の3つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
今週も、米国小型成長株にとって、売り材料はありませんでした。
<中国とレアアース>
先週のこのコメントでも書きましたが、米国にとってレアアースの問題は急所であり、この問題解決には、かなりの期間の我慢が必要です。中国とは致命的な衝突を避けながら、米国内の製造業の回復を待つしか効果的な戦略はありません。
トランプ政策の「関税で外国製品を締め出し、米国の製造業に米国市場を有利な条件で与え、海外から米国に投資を注ぎ込む」という政策は、「あまり褒められたものではないが、これぐらいしか方法がない」という選択です。
ただし米国小型成長株にとっては、明らかにプラスな政策とは言えます。
<第一次世界大戦とウクライナ戦争>
第一次世界大戦、特に西部戦線は、非常に特異な戦争です。開戦直後のドタバタの後、塹壕戦になり、それから3年間ほとんど前線が動きませんでした。いわゆる「西部戦線異状なし」です。
しかし1918年に入り、東部戦線においてロシアが(ロシア革命によって)戦争離脱したため、一気に動きが出ました。
極限状態にあったドイツが東部戦線から軍隊を西部戦線に移し、「最後の攻撃(リューデンドルフ攻勢」の賭けにでて、一気に西部戦線を押し返します。しかし、決定的な結果は出せず動きが止まりました。その直後に「アミアンの戦い」があり、ドイツは負けます。この一回の敗戦の後、わずか3か月程度でドイツ軍は「自壊」し、戦争全体に敗北します。
サッカーに例えれば、前半後半のほとんどの時間をセンターラインでの攻防が続きます。後半40分、(ロスタイムに米軍が敵に参加することが分かった)疲れ果てたドイツはゴールキーパーを含めた全員攻撃で一気に押し上げ、勝負を決めに来ますが、ゴールを決められません。ロスタイムに入って、連合国はフレッシュな選手(米軍)が入って、ゴール前から一回のカンター攻撃でゴールを決めて、ドイツは敗戦した。そんな感じです。
アミアンの戦いという「一回の敗戦」がドイツを崩壊させました。
しかし、現在では、ドイツの(第一次世界大戦の)敗戦の本当の背景は、「ドイツは既にギリギリの状態で戦線を維持していたこと」と言われています。「西部戦線が膠着しているからといって、ドイツと英・仏・米軍が同じ程度の消耗度であったわけではない」という点が重要です。英国とフランスはドイツ同様、息切れ寸前まで消耗していました。しかし、米国というフレッシュな選手が入り、新しい戦術も使ったことで、一気に戦争は勝負がつきました。(アミアンの戦いでは、「諸兵科連合」という新しい戦術が初めて導入された)
ウクライナ戦争についても、ロシア・ウクライナともに消耗しています。現状は、ウクライナが息切れ寸前に見えます。一方ロシアは、疲労が表面化していませんが、「本当はかなり消耗しているかも??」という報道も相次いています。
ウクライナ戦争を一気に決着する「アミアンの戦い」は、近づいているのでしょうか?
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2025年10月31日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1686.56/6840.20=24.66%、
26週移動平均との乖離は+0.69%でした。

2025年4月のトランプ関税ショックの時には、23%割れの水準まで売り込まれました。しかし、利下げや景気の底堅さにより米国小型成長株は少しずつ「負け」を回復してきました。しかし、まだまだ長期的には「割安」な水準です。
米国小型成長株は、トランプ政権の「米国一国主義」の恩恵を一番受けます。長期的な回復相場を期待しています。
→ 2022年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2024年11月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)

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