アメリカ(米国)成長株:テンエックス・ゲノミクス(10x Genomics)の概要
テンエックス・ゲノミクス
10x Genomics Inc
ティッカーコード:TXG
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/TXG
現代医療において新しい治療法の研究開発には“病気の細胞で何が起っているのか”を詳しく調べることが重要ですが、機器の性能の限界もあってこれまでは細胞の集団をまとめて分析する以外に方法はありませんでした。
しかし最近では高い検出能力をもった分析機器の登場により、細胞一つ一つを個別に調べることが可能になりました。この分析法は“シングルセル解析”と呼ばれていて個別の細胞の性質の違いや時間的な変化まで追うことができるもので、一見したところ均一に見える病変部位にも様々な種類の細胞が混在していることが分かってきました。
例えば、抗がん剤が効かなくなったガンがどのようにして耐性を持つのかを調べる場合、耐性を持っているのはガン細胞全てではなく一部の細胞だけなのですが、その他の細胞が混入すると目的の細胞の情報がノイズの中に埋もれてしまうことがあります。このような場合にはシングルセル解析が力を発揮します。
同社が提供するソリューションを簡単にまとめると以下のようになります。
シングルセル遺伝子発現
・細胞一つ一つの遺伝子発現(どの遺伝子が働いているか)を解析し、細胞の種類別に分類します。
シングルセル免疫プロファイリング
・免疫細胞持つ抗体の種類の分布をライブラリー化します。
シングルセルCNV
・遺伝子のコピー数には個人差があり、これを単一細胞レベルで網羅的に解析して表示します。
シングルセル エピゲノミクス
・ゲノムのDNA鎖はタンパク質に巻きつけて保管されていて必要な部分だけほどけるのですが、どの部分がほどけているのかを単一細胞レベルで解析して表示します。
ゲノムシーケンス
・ゲノムの構造変化を検知してこれまでアクセスできなかった領域の遺伝子変異を検出します。
エクソームシーケンス
・ゲノム中のタンパク質をコードしている遺伝子部分だけをピックアップして効率的に解析します。
de novoアセンブリ
・ゲノムの塩基配列を一から解読することができるので参照配列が不要です。
空間的遺伝子発現
・顕微鏡のイメージ上に重ねて遺伝子発現の様子を表示します。
同社の分析機器はガン、免疫、神経科学の研究において広く利用されていて、98の世界のトップレベルの研究機関、19の製薬会社で採用されており、多くの研究論文が盛んに発表されています。
シングルセル解析は最近出てきた分析方法ですが、“細胞の個性“が明らかになるにつれて今までいかに雑なことをやっていたのかを思い知らされつつあります。従来はなるべく多くの試料を使って分析するというのが基本でしたが、これでは細胞の集団の平均結果が得られるだけで、個々の細胞で起きている現象に迫ることができていなかったのです。
まだ装置が高額であるということもあり、なかなか普及していないシングルセル解析ですが、多くの分析装置がそうであったように今後低価格化が進んでいけば細胞研究の常識になっていくことは確実でしょう。
会社ウェブサイト
www.10xgenomics.com
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