2023年6月30日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1232.98で終わりました。一週間前に比べ+43.86(+3.69%)と大幅反発しました。主要インデックスのNYダウ(前週末比+2.02%)やSP500(前週末比+2.35%)を上回る上昇となり、一週間前の負けを取り返した感じです。
発表された物価データが安定した数字で、一方で景気の底堅さも再認識され、株式市場にはプラスの一週間でした。より、景気敏感である小型成長株が見直し買いされました。
この一か月同じコメントですが、市場環境は、景気と金利についてまだまだ不透明ですが、小型成長株はチャート的には、下値が固まってきた感じです。大きな売り材料がでなければリカバリー相場となりそうです。
但し、金利はまだピークアウトしていません。シリコンバレー銀行の破たんのように「たまってきたマイナス材料が爆発する」リスクを用心しながらの相場となります。特に、商業不動産関連では、まだどんな売り材料がでるかわかりません。
<米国の不動産について>
商業用不動産は、コロナによるリモート勤務増加によるオフィス需要の弱さに加えて、金利の上昇によって、非常に厳しいことになっています。
しかし、「住宅」は様相が異なります。
住宅も住宅ローン金利が上昇することにより、購買力が減少しているという悪材料があります。しかし、一方でインフレによって賃金上昇圧力が高まっているため、所得増による購買力の増加という別のファクターもあります。
(賃金上昇がさらなるインフレを生むため、原因・結果の関係が複雑ですが)
このため、住宅ローンの証券化商品であるRMBSの価格は比較的安定しています。
米国の不動産の問題が、商業不動産だけ絞られるならば、まだ傷は浅いと思われます。しかし、住宅にまで広がると、リーマンショックと同じになります。今後の展開を注視しています。
<ウクライナ>
ウクライナへのロシア侵攻については、日本のメディア(及び西側メディア、西側政府)と、(中立的と思われる)ユーチューバーの意見が、常時異なっています。
この一週間では
日本のメディア:ウクライナの反転侵攻は、予想より遅れている。しかし、各方面でウクライナ軍は健闘しており、着実に進んでいる。
ユーチューバー:反転侵攻は「そもそも、一点集中でロシアの防衛線を短期に突破する予定」であった。しかし現在行われているのは、「多方面への攻撃で、ほとんど進軍できていない」。
計画とはかなり異なる展開となっている。
そして、一番の問題はウクライナ軍の被害の大きさ。(ウクライナの被害については、西側は全く触れていません)
ウクライナ軍の被害の大きさというファクターは、ここにきて表面化してきた停戦交渉にどのような影響を与えるのでしょうか?
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2023年6月30日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1232.98/4450.38=27.71%
26週移動平均との乖離は-0.61%でした。
2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から反発トレンドでしたが、米国の地方銀行破たん、米国連邦政府の債務上限問題などで、相対的に財政基盤の弱い小型成長株は厳しい動きが続いています。
市場環境は引き続き厳しいですが、長期的な視点で見れば、小型成長株は歴史的な買い場となっています。
→ 2019年10月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2021年11月末時点)
→ 2020年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年5月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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