アメリカ成長株:アペリス・ファーマシューティカルズ(Apellis Pharmaceuticals)の情報アップデート2
アペリス・ファーマシューティカルズ
Apellis Pharmaceuticals Inc
ティッカーコード:APLS
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/APLS
アペリス・ファーマシューティカルズの過去のレポートは下記の通りです。
アペリス・ファーマシューティカルズの概要
アペリス・ファーマシューティカルズのアップデート1
体内に侵入した細菌やウイルスなどの外敵は主に免疫細胞と抗体によって排除されますが、この際に補助的な役割をする“補体”と呼ばれるタンパク質群が存在します。
免疫細胞や抗体と比べるとほとんど知られていませんが、影で支える縁の下の力持ちのような存在です。
補体には以下の3つの働きがあります。
・外敵を捕まえた抗体に結合してこれを食べる白血球などの免疫細胞を呼ぶ。
・白血球を活性化し、血管から感染現場への移行を促進する。
・細菌の細胞膜に穴を開けてパンクさせる。
C1~C9の9種類の補体があり、その分解物や膜タンパク質も含めた多くの因子が複雑に関わり合って補体系を形成しています。
アペリス・ファーマシューティカルズ社はその中でも特に中心的な役割を果たしているC3という補体をターゲットにした阻害剤を開発しています。
その重要性は血中のC3値を調べると免疫の状態が分かり、悪性腫瘍・感染症・リウマチ・肝炎などの診断に利用できるほどです。重要であるということは、C3を薬剤でコントールすれば免疫の異常が原因となる病気の治療につながる可能性が高いことを意味します。
補体は不活性型の状態で血中を流れていて、外敵が侵入してくると活性化して免疫細胞や抗体と協調して戦闘状態に入ります。外敵が侵入してきた際の補体の活性化には3つの経路があり、C3は全ての経路に関わっていて免疫応答の調節をしています。
同社がC3に注目してターゲットとしているのには以上のような理由があります。
同社が開発したペグセタコプラン(商品名:Empaveli)というC3阻害剤は、発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療薬としてすでに販売されており、それに続いて加齢性黄斑変性症の治験が最終段階にありますが、どちらも免疫が自己の細胞を攻撃することで引き起こされる病気です。
加齢性黄斑変性症は網膜の中心部にある黄斑が免疫の暴走が引き起こす炎症によってダメージを受ける眼病で、視力が低下し進行すると失明することもあります。
加齢性黄斑変性症の治療薬は他社が別の補体因子をターゲットとした阻害剤の開発にチャレンジしていますがうまくいかず撤退しています。
C3阻害剤である同社のペグセタコプランが成功すれば業界初となり、市場を独占できることになります。
またその他の自己免疫疾患の治療にも広く使える可能性があり、現在同社はALS(筋萎縮性側索硬化症)・糸球体腎炎・溶血性貧血などの希少疾患、遺伝子治療の免疫抑制、神経系疾患(詳細は非公開)でのC3阻害剤の臨床試験を進めています。
多くの自己免疫疾患への有効性が示されれば“C3阻害剤”というカテゴリーが新たにできることになるかもしれません。
会社ウェブサイト
www.apellis.com
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