アメリカ成長株:シルバーゲート・キャピタル(Silvergate Capital)のアップデート2
シルバーゲート・キャピタル
Silvergate Capital Corp
ティッカーコード:SI
上場市場:NYSE
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/SI
シルバーゲートキャピタルについては、2021年7月、2022年2月に取り上げています。デジタル通貨(暗号通貨、仮想通貨など)に特化した銀行です。この数日、株価が急落しているので、アップデートします。
インフレが収まらず、FRBの金融引き締め政策が市場の想定を超えたペースで進んでいます。これにより、株式市場が波乱となっていますが、さらに大きく下落しているのが暗号資産です。ビットコインは2021年11月に68000ドルでしたが、現在30000ドル割れとなっています。特に、5月4日頃には4万ドル近くであったため、この1週間だけで30%近くの急落となっています。このため、暗号通貨関連株も凄まじい急落となっています。
例えば、2022年5月4日の終値と5月11日の終値を比較すると
・コインベース : 130.15→53.72 (-58.72%)
・ソーファイ・テクノロジー:7.14 → 5.49 (-23.10%)
・マイクロストラテジー:366.44 → 168.20 (-54.10%)
そして
・シルバーゲート・キャピタル:130.99 → 71.51 (-45.41%)
となっています。
シルバーゲートの場合、「暗号資産を担保にした融資」が懸念されています。
例えば、マイクロストラテジー社は2022年3月29日にビットコインを担保にして、シルバーゲートから2.05億ドルの融資を受けています。
担保になっているビットコインは、融資決定時においては8.20億ドルとされています。3月末ごろのビットコインの価格は47000ドルあたりでした。金利は30日SOFR(Secured Overnight Financing Rate ) + 3.7%とのことです。
シルバーゲートの立場からすれば、金利の上昇は貸し出し金利の上昇につながるため、プラスです。しかし、問題は「担保」です。
担保となっているビットコインは47000ドル→30000ドルへと36%も急落しています。融資実行時に8.20億ドルだった担保は、既に5.2億ドルまで減少しています。現時点では、担保割れになっていないし、ビットコインはそれなりに流動性があるので、不良債権になっていませんが、クッションは急激に無くなっています。
マイクロストラテジー社の借り入れの目的も気になります。同社は、既に40億ドルものビットコインを購入していたのですが、そのために発行した社債の金利支払い等のために、持っているビットコインを担保にしてシルバーゲートから借り入れをしたのです。借金で購入した資産が値上がりしたから、さらにその資産を担保に金を借り、さらに資産を購入する・・・・どこかで聞いたような話です。
さらに懸念されるのが、このようなことはマイクロストラテジーだけの問題なのか?ということです。ビットコインを不動産に置き換えれば、日本のバブル時代とまったく同じ構図となります。ビットコインの価格はこの2年間30000ドルを底値に推移してきました。同様の信用創造が、この水準を基準にして行われているリスクがあります。
一方、シルバーゲートの直近の決算は、「良好」でした。
2022年4月19日に発表された2022年第1四半期の決算内容は、以下のような数字でした。(成長率は対前年同期比比較)
・デジタル通貨の取引額(SEN*):-14.53%
* SEN=Silvergate Exchange Network
・デジタル通貨担保ローン額(SEN leverage):+444%
・デジタル通貨の顧客数:+36%
・純利益:+115%
2022年第1四半期は、ビットコインの価格が落ち着いていたため、取引量が少なくSENのボリュームは低下しました。しかし、貸付等が好調で利益はかなり大きな増加をしていました。
直近の業績は好調、しかし、担保となるビットコイン自体が暴落。
現在の30000ドル水準で下げ渋るのか?それとも、20000ドルなど、はっきりとした下落局面になるのか?例えば、融資先のマイクロストラテジー社の場合、ビットコインが21000ドルまで下落したら、マージンコールで強制売却する必要があるそうです。多くの担保ビットコインがそのような境遇になる可能性があります。
その場合、ビットコインの下落→担保資産の強制売却→さらなるビットコインの下落→さらなる担保資産の強制売却・・・という本当のバブル崩壊が起こります。
今年にはいり、多くの金融機関や機関投資家が、暗号通貨を投資対象にする旨のコメントをだしています。長期的には暗号資産が市民権を得ていく流れは続くと思います。しかし、短期的には「暗号資産を担保にした信用創造の崩壊リスク」があります。
ビットコインの30000ドルの攻防。非常に注目してみています。
会社ウェブサイト
https://www.silvergatebank.com/
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