2020年12月11日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1393.85で終わりました。一週間前に比べて、28.95ポイントの続伸(+2.12%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-0.57%)やSP500(前週末比-0.96%)は伸び悩んだのに対し、堅調な動きとなっています。コロナの新規感染者数は毎日20万人という異常事態ですが、ワクチン承認も具体化したため、株式市場は底堅い動きとなっています。
<成長株:大型 対 小型>
以前このコメントでも書いたのですが、「大型IT銘柄に対する独禁法という売り材料」が、ここにきて具体化してきました。米国連邦取引委員会(FTC)がフェイスブックを提訴しました。フェイスブックに限らず、FAANG等の「市場と情報を支配する超大型IT企業」に対して、社会の厳しい目が注がれています。今後、「独禁法」という材料が、「成長株における大型VS小型」の戦いの趨勢に影響を与える可能性があります。
「独禁法」の焦点となった会社は、「これ以上勝つと、さらに目立って、会社が解体されてしまう」という心配から「成長しないようにしようバイアス」がかかる可能性があります。成長株が成長しなくなったら、「将来の過大な期待を反映した高いPER・PBR等の割高な株価」は維持できなくなります。このため、「超大型成長株」の株価は冴えない動きとなるリスクがあります。
一方、小型成長株は、「小さいからこそ、高成長しても世間から睨まれない」のです。小型成長株が大型成長株に成長したら、小型成長株ではなくなっています。次の「小型成長株」、を探せばよいのです。
この半年のパフォーマンスを見れば、SP500 やナスダックなどの大型成長株の影響を受けやすい指数が、小型成長株インデックス(ラッセル2000グロース)に負けています。特にこの2か月かなり大きな差がついています。成長株の中での「大型VS小型」の戦い、もちろん私は「小型派」ですが、今後どうなるのか、高い関心を持って見ています。
<波乱材料>
テキサス州など共和党の強い州が、接戦州の選挙結果を無効とするように訴えましたが、最高裁によって拒否されました。これで、トランプ氏の大逆転は一段と厳しくなりました。このため、トランプ氏が「退任前にバイデン氏の進路を破壊」する事へのインセンティブが一段と高くなってきました。
今週も、対中国、対イラン(およびイスラエル)・・いろいろやっています。しかし、本当に中国を痛めつけ、そして米国株式市場も半端ない返り血をあびる劇薬である「中国と香港の金融機関への制裁」はまだです。先週とまったく同じコメントですが「あと1ケ月あまり、この劇薬、を使わないままトランプ氏はやめてくれるのでしょうか?」
<米国小型株 対 主力株>
12月11日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1393.85/3663.46=38.05%
26週移動平均との乖離は、+3.69%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、長期的に32%~38%のレンジで推移していました。
短期的および長期的、ともに割高となっています。
ただし、「超大型IT銘柄に対する独禁法という重し」により、2013年以降続いたレンジを上に抜ける可能性がでてきました。この場合、かなり長期の「小型成長株相場」が続くことになりそうです。
→ 2019年4月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2020年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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