アメリカ成長株: イントラセルラー・セラピーズ(Intra-Cellular Therapies)の概要
イントラセルラー・セラピーズ
Intra-Cellular Therapies Inc
ティッカーコード:ITCI
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/ITCI
人体は数十兆個の細胞で構成されていて、これらの無数の細胞が協調して動作するためには細胞間の情報交換が欠かせません。この細胞間の情報交換を担うのは主に“情報伝達物質”であり、基本的に細胞組織は「こういう物質が来たらこうしなさい」という命令に従うようになっています。
一度出した命令がずっと出っぱなしでは都合が悪いので、役割を終えた情報伝達物質は回収されリサイクルされます。この回収作業は、「早過ぎても、遅過ぎても」、「やり過ぎても、やらな過ぎても」、不具合が生じてしまいます。なんらかの原因で情報伝達物質の回収が滞ったり、逆に必要量に達する前に回収されてしまうと精神障害、神経障害、心不全などが引き起こされます。
イントラセルラー・セラピーズ社が開発中の新薬候補(ITI-007、ITI-214、ITI-333)は、情報を受け取って次に伝えるタンパク質や、役目を終えた情報伝達物質を回収するタンパク質に作用する低分子薬です。統合失調症、うつ病、パーキンソン病、心不全、行動障害などでの使用を想定した臨床試験が進められています。
ITI-007の一つはすでに統合失調症の治療薬としての臨床試験をパスしていて、昨年の12月にFDA(アメリカ食品医薬品局)によって承認され米国内では“CAPLYTA”という商品名で販売されています。
統合失調症の治療薬のような向精神薬は中枢神経に働きかけるため、手が震える程度の軽度のものから意識不明に陥るような命に関わるものまでの幅広い副作用が出てしまいます。しかし、その点CAPLYTAは副作用が小さく抑えられていて、薬剤としての効果よりもこちらの方が高く評価されているようです。
統合失調症などの精神疾患の原因についてはいくつかの仮説が立てられていますが、まだ十分には解明されてはいませんし、CAPLYTAがどのようにして効くのかについてもはっきりとは分かっていないようです。
最近は、まず病気の原因を探り、それに基づいて開発をすすめるのが通常の手順ですが、向精神薬の場合は薬の効果から原因を推測するのが限界で、まだまだ手探りの状態にあるというのが現状です。
しかし、未解明な部分が残されているということは、ここに大きなフロンティアがあることを意味していて、今後の研究の進歩によっては向精神薬開発の分野に大きなブレイクスルーがある可能性があります。
会社ウェブサイト
www.intracellulartherapies.com
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