2020年11月6日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1231.29で終わりました。一週間前に比べて、98.73ポイントの大幅反発(+8.72%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+6.87%)やSP500(前週末比+7.32%)も大幅に反発しましたが、小型成長株はさらにこれらをアウトパフォームしました。大統領選挙の結果は全く見えていないものの、株価は一週間前の下落を完全に取り戻しました。
<大統領選挙>
どちらが勝者になるのかはわかりません。しかし、はっきりしていることは「現時点では接戦である」ことです。今回も多くの世論調査は外れました。「バイデン氏の地滑り的大勝、さらに上院も制するブルーウェイブがくる」というのが大方の予想でした。しかし、バイデン氏は勝ったとしても辛勝で、上院はどうなるかまだ分かりません。
トランプ氏は「絶対に諦めない」とコメントしています。トランプ支持派は、「どんなにトランプ氏に不利な情報がでても、トランプ氏を支える」と予想されます。莫大なコロナ死者、数えきれないほどの非難・中傷・暴露記事、普通の政治家では口にしない暴言の数々にも関わらずトランプ氏を支持した層です。トランプ支持者にとって「いきなりバイデン氏の得票が増えた。不正があった!」という主張を認めるぐらい、簡単なことです。しかも、その数は投票者のほぼ半分の7000万人です。
一方、バイデン氏には「誰も文句が言えないぐらい大勝」しない限り、求心力はありません。何故ならば、この世に「バイデン派」は無くて、「反トランプ派」があるだけだからです。反トランプ派には、「民主党の中道・右派」「民主党左派」のみならず「共和党の反主流派(というかトランプ以前の共和党)」まで入っています。
バイデン氏が選挙に勝っても、強力に政治をリードするためには、小異を黙らせる求心力が必要です。接戦州でことごとくバイデン氏が勝ち、選挙人数では「大勝」となるかどうかがカギです。また、民主党が上院の過半数を取れるかどうかも、非常に重要になってきます。バイデン氏が思い切った政策を実行できるかどうかに影響を与えるからです。
トランプ氏が予想に反して早々と負けを認め、ホワイトハウスを去ったとしても、7000万票を集め接戦であったという実績は、今後も影響を持ちます。様々な形でバイデン氏の政策が妨害されます。その時に重要なのは、「どの程度の選挙人を集めたか」そして「上院を支配しているのか」になります。
<株式市場>
大統領選挙の結果が不透明になったにも関わらず、株式市場は堅調でした。いろんな解釈があります。「バイデン氏の勝利が見えてきたから」「上院の共和党有利が変わらないので、増税等の政策が遠のいたから」など、全く反する解釈がでています。後者は「トランプ氏の政策が続く」と言っているわけですから。
私は、景気の回復が着実に進み(プラス)、FRBの金融政策は当面は維持され(中立)、一方で一週間前のリスクオフで売った投資家がとりあえず買戻しをいれている(プラス)、の3つの要素が、大統領選挙の結果がまだわからない(マイナス)を上回ったのだと思います。
しかし、まだ不透明な状況は続く可能性があります。株式市場は少し楽観的すぎるのでは?と思っています。
<米国の小型成長株の割安について>
11月6日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1231.29/3509.44=35.09%
26週移動平均との乖離は、+1.44%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、長期的に32%~38%のレンジで推移していました。
短期的には中立、長期的にはやや割安となっています。
→ 2019年4月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2020年9月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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