アメリカ成長株:エマージェント・バイオソリューションズ(Emergent BioSolutions)の概要
エマージェント・バイオソリューションズ
Emergent BioSolutions Inc
ティッカーコード:EBS
上場市場:NYSE
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/EBS
エマージェント・バイオソリューションズ社は、炭疽菌、コレラ、腸チフス、エボラ出血熱、天然痘などの公衆衛生上の国家的危機となり得る感染症を対象とした治療薬の開発・受託生産・供給を行っています。
感染症の他にも化学兵器の除去・中和や核テロによる放射線障害の治療から“合法の麻薬”とも言われ米国で社会問題になっているオピオイド鎮痛薬の過剰摂取のための緊急治療まで幅広い分野をカバーしています。
危機対策専門で米国国防総省などの政府機関から資金提供を受けており、民間企業でありながら国にぶら下がっている半公的企業でもあります。まさに今“天然のバイオテロ”と言っても過言ではない新型コロナウイルスによって世界中が大混乱に陥っている状況にあり、同社は持てる力を最大限に発揮してこの脅威に立ち向かっている真っ最中です。
この状況では世界中どの国も新型コロナウイルスのワクチンの入手に焦っていて、かつてないスケールの量のワクチンが緊急に必要となっていますが、同社はそのニーズに答えることができる数少ない企業の一つです。
トランプ政権は現在“ワープ・スピード計画”というワクチン開発プロジェクトを進めていて、これはワクチン開発中の企業の中から有望な数社を選び出して資金提供を集中的に行うことで開発のスピードを加速させるというものです。金に糸目をつけず、成功するかどうか定かではないワクチン候補も早々に大量生産に入り、一つでも当たればよいという戦法です。
同社は選ばれた5つの企業の中で、アストラゼネカ社とジョンソン・エンド・ジョンソン社の2社と業務提携契約を交わしていてワクチンの大量生産を請け負っています。
中でも最有力候補と言われているのは英製薬大手のアストラゼネカ社であり、米国政府からの資金提供を最も多く受けています。
ところが先日「アストラゼネカが臨床試験を一時中断」というニュースが飛び込んできて大きな動揺が広まりました。しかし、公的資金による大量生産を請け負っているだけの同社にとっては、アストラゼネカの開発状況がどうなろうと大きな問題とはなりません。
※その後、安全性が確認されたとして臨床試験は再開されています。
同社は“回復者血漿療法”という感染から回復した患者の血漿中に存在する抗体でウイルスを撃退する方法の開発も進めています。
ワクチンは弱い敵で免疫に“予行演習”させるのに対して、血漿療法はウイルスを叩くための抗体という“武器”を直接与えるという手法です。この手法を拡張し、大量生産が可能な“馬の血漿”を使う方法を開発しており、米国生物医学先端研究開発局(BARDA)からの資金提供を受けています。自社で開発することや特定の技術にこだわらず、危機回避のためだけに全力を尽くすという姿勢を貫いています。
米国のワープ・スピード計画には期待したいところですが、有望な企業の選定の段階で間違えると全て失敗に終わるリスクもあります。なんとかこの計画が成功し、今の世界的な混乱が早く収束することを願うばかりです。
会社ウェブサイト
www.emergentbiosolutions.com
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