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アメリカ成長株:エイトリキュア(AtriCure): 深刻な脳梗塞を招く心房細動の治療器具を開発

ヘルスケア・バイオ

アメリカ成長株:エイトリキュア(AtriCure)の概要

エイトリキュア
AtriCure Inc
ティッカーコード:ATRC
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/ATRC

心房細動とは、心臓がけいれんを起こしたような状態です。心房細動になると血液を十分に送れなくなるため、心臓の中に血液が滞留して血栓ができてしまうことがあります。この血栓が脳に達すると脳梗塞を引き起こします。心房細動は脳梗塞の原因の約3割を占めているといわれています。

脳梗塞はアメリカの死因ランキングの常に上位にあり、また、高齢者の不整脈のほとんどが心房細動であることから治療法の確立が急がれる重要な疾患の一つとされています。

心房細動で生じる血栓は大きな塊であるため脳梗塞の範囲が広く後遺症を残すことが多いのですが、これは動脈硬化でできる小さな血栓よりも脳に大きなダメージを与えるからです。

心房細動は心臓の一部から乱れた電気信号が出ることが原因となっているケースが多いため、誤信号を出している部分を焼いて破壊する“メイズ手術”と呼ばれる外科手術が行われます。エイトリキュア社の“Isolator Synergy”は、ターゲットの部位をラジオ波という高周波を使って組織を焼く電気メスで、心房細動の治療のための世界で唯一承認されている手術用器具です。

しかし、心房細動の原因はまだ完全には解明されておらず全ての心房細動がこれで完治できるわけではないし、体への負担も大きいためにそう簡単にできる手術ではありません。

心房細動自体はそれほど深刻な症状ではないので投薬でコントロールするのが主流であって、この手術は最終手段として行われることが多いのですが、心房細動の治療は保留しておくとしても血栓ができるリスクは避けなければなりません。

心房細動による血栓は心臓のどの部分でも生じるわけではなく、左心房にある“左心耳”という突起の内部で特に多く生じることが分かっています。この部位は左心房から風船のように突き出た小さな部屋のようになっていて特に血液が滞留しやすくなっているのですが、心臓の機能にあまり寄与していないようで切除・閉鎖しても大きな問題は生じません。

従来は左心耳の切除手術が主流でしたが、心臓というデリケートな臓器の一部を切り取る大きな手術であり、もっと時間のかからなくて体への負担が小さい方法が模索されてきました。

その一つが同社の開発した“AtriClip”というクリップ状の器具で左心耳の根本を外側から挟んで閉鎖してしまう方法ですが、心臓部での切除・止血・縫合の手間と時間がかからない分患者への負担も小さく、術後数日で退院することもできます。AtriClipは日本でも2016年に承認されて以降多くの症例で使われて良好な成績を挙げています。

競合する製品としては、ボストン・サイエンティフィック社の“ウォッチマン”がありますが、これは左心耳の入り口付近で傘のようなものを広げて閉鎖するもので、太ももの付け根にある動脈から入れたカテーテルを使って行います。

クリップを使う場合はメスを入れて開胸する必要がありますが、ウォッチマンはカテーテルの挿入だけで済むため体への負担が圧倒的に小さいという利点があります。しかしウォッチマンは、左心耳の閉鎖が不十分であったり外れてしまうという問題が近年報告されていて、パーフェクトな方法とは言えないようです。

左心耳切除術に変わる方法としては主に同社のAtriClipとウォッチマンという2つの選択肢がありますが、
・AtriClip:開胸手術が必要だが確実に閉鎖できる
・ウォッチマン:体への負担は小さいが左心耳の閉鎖に難がある
などと、どちらも一長一短かつケースバイケースであり医者によっても評価が分かれているようです。しかしながら、少なくとも「非常に重要な問題の解決策の、限られた選択肢の一つを提供している会社」と言えます。

先進国に限らず途上国でも高齢化は進んでおり、心房細動・脳梗塞の問題は拡大しています。同社の成長の可能性はまだまだあると思われます。

会社ウェブサイト
www.atricure.com

 

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