アメリカ成長株:インビティ(Invitae)の概要
インビティ
Invitae Corp
ティッカーコード:NVTA
上場市場:NYSE
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/NVTA
インビティ社は、医療機関と個人向けの遺伝子診断サービス会社です。
利用者には
①将来ガンなどの病気になる可能性
②出生前診断による胎児の流産や病気のリスク
③ガンの治療法や治療薬との適合性
に関する情報を提供します。
ガンの治療薬には効果や副作用の個人差が大きく出る場合があり、③の診断によって事前に適合性を知ることができます。これは一般に“ガン遺伝子パネル検査”または“ガンゲノム医療”と呼ばれていて、純粋に治療に役立てる目的で医療機関で行われるものです。
それに対して①、②の診断は個人で受けることも可能であり「診断結果をどう受け止めてどう活かすか」「得られた高度な個人情報をどう扱うか」といった難しい課題が生じることになります。
遺伝子診断は“次世代シーケンサー”と呼ばれる従来よりも素早く、安価に、大量に分析できる遺伝子解析装置の登場したことや血液サンプルを取るだけで診断できる手軽さから米国では3年ほど前から一般にも急速に普及してきています。ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが遺伝子診断を受けた結果、将来高い確率で乳ガンになることが分かり乳房の切除手術を受けたという話は有名です。
個人向けの遺伝子診断が出始めたのは10年以上前ですが、当初の診断技術では数種類の遺伝子を調べるのがやっとで、医学的根拠も乏しい血液型占いレベルのものでした。不安を煽った上で自社製品を売りつけるのが目的のケースもあり、FDA(アメリカ食品医薬品局)からサービス販売の禁止措置をとられた会社も出ています。
現在は遺伝子検査の技術やデータの蓄積と解析技術が大幅に進化し、以前よりは精度の高い遺伝子診断が可能になってきました。しかし遺伝子診断が普及するにつれて、保険契約、就職、結婚における差別や個人情報漏洩という新たな社会問題を引き起こすことになりました。
その根底にあるのは「遺伝子は全てを決定するもので、何でも解決してくれる」という誤解です。その他の医学的検査と同様に遺伝子診断も100%の正確さを持つものではありません。診断で問題がなかったのに病気になったり、またその逆の両方が起こる可能性があるのです。
ところが、遺伝子診断への過信は「遺伝子によって人間の優劣が決まる」という安易な考えにつながり、100年以上前に一時流行した“優生思想”を復活させているという指摘もあります。
そのような背景もあり、米国では2008年に遺伝子診断の結果に基づく差別を禁止した“遺伝子情報差別禁止法”が制定されましたが、なぜか生命保険と一定規模以下の事業者が除外されるという甘い規制で、とても十分とは言い難いものでした。
遺伝子診断はコストダウンと精度の向上により、今後さらに需要が伸びると予想されます。しかし、一方でその社会的影響度も高まっています。遺伝子診断がもたらす様々な問題が拡大していくと、より強い規制を求める声が高まるのは必至です。
さらなる需要の増加というプラス材料と、規制の強化というマイナスの材料、が相半ばする成長企業です。
会社ウェブサイト
www.invitae.com
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