2025年8月8日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1487.25で終わりました。一週間前に比べて+33.04(+2.27%)と反発しました。
主要インデックスのNYダウ(前週末比+1.35%)およびSP500(前週末比+2.43%)と同程度の上昇となりました。
米国の雇用統計の悪化によって、むしろ金利引き下げの可能性が見えてきた事、さらに主要企業の決算が好調であったことから、株式市場は堅調に推移しました。
関税の話はすでにかなり株式市場に追い込まれており、今後は関税→物価に反映、という現象が明確に出てこない限り、大きな売り材料にはならない可能性があります。
一方で、ある程度の物価上昇があっても、関税障壁+米国への強力な投資要請、という景気への追い風が買い材料として評価される可能性もでてきます。
<トランプ政策>
トランプ関税の中身がほぼ固まりました。主要国は少なくとも15%程度の関税を米国に支払う必要があります。これにより米国の連邦政府は膨大が関税税収を獲得できます。
一方で、主要国は米国への投資も約束しました。
通貨を対ドルで下げて痛みを軽減したくても、ここにもトランプ政権は厳しい目を向けています。
結局は今後、「海外生産→米国に輸出」ではなく「米国に工場を作って、米国向けの生産をする」というビジネスモデルを強制されます。
世界経済全体は「高関税」の悪影響で経済成長率にはマイナスの影響がでます。しかし、米国だけは、「国内に十分な需要を持っている」ため高い経済成長を維持できる可能性があります。
2つのシナリオがあります:
1)マイナスシナリオ:関税で輸入物価が上がる→インフレになって国内からトランプ政権に突き上げがくる。
2)プラスシナリオ
関税で輸入物価が上がるが、販売数量維持のため輸出国は輸出品価格を(自らの利益を削って)下げて輸出したら、アメリカでインフレは起きず、一方で貿易赤字は(価格効果で)、減少する。
一方、海外の輸出企業が出血低価格輸出に耐えられなくなったら、価格を上げて米国での市場シェアを失うか、米国に工場を作るしか方法がなくなる。
この場合、いずれにせよ米国内で高い人件費を支払っても米国企業の製品はそれなりに売れることになる。一方で、米国政府は関税で潤うため、各種の補助の余力ができる。
どちらのシナリオが現実化していくのか?
マイナスシナリオの場合は、金利上昇につながり、米国小型成長株にとってはかなりマイナスです。この数か月の米国小型成長株はこちらのシナリオを反映していると言えます。
一方で、プラスシナリオの場合は、米国小型成長株にとっては非常に強い追い風となります。
<外部材料>
従来から以下の3つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
今週は、米国小型成長株に悪材料となる動きはありませんでした。
相変わらずウクライナ情勢は振れています。ロシアへの制裁強化になるはずであった8月8日に、突如米ロの首脳会談の話が出てきました。
この話は、これからも不透明ですが、明確になっていることがあります。ウクライナの戦線状況は、ウクライナにとって非常に厳しくなっており、悪化の速度が加速していることです。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2025年8月8日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1487.25/6389.45=23.28%、
26週移動平均との乖離は-0.29%でした。
現在の水準は「この比率の新安値」です。米国小型成長株は、新たな「相対的な下落水準」に落ち込んでいます。長期的にみれば「異常値」がさらに「異常に」なっている状況です。
しかし、トランプ政策は長期的には米国小型成長株にとってプラスであると思っています。
「超割安な小型成長株の、長期的な買い場」を提供していると思っています。
→ 2021年6月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2024年11月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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