2025年8月2日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1454.21で終わりました。一週間前に比べて-47.59(-3.17%)と急反落しました。
主要インデックスのNYダウ(前週末比-2.92%)およびSP500(前週末比-2.36%)と比べべても、やや弱い動きとなっています。
週の半ばまでは欧州との関税交渉が締結したこともあり比較的堅調に推移しました。しかし、かなり高値となっていたところで、金曜日に発表された雇用統計が非常に悪く、景気減速懸念で急落しました。
<トランプ政策>
トランプ関税の中身がほぼ固まりました。主要国は少なくとも15%程度の関税を米国に支払う必要があります。これにより米国の連邦政府は膨大が関税税収を獲得できます。一方で、主要国は米国への投資も約束しました。また、通貨を対ドルで下げて痛みを軽減したくても、ここにもトランプ政権は厳しい目を向けています。
結局は今後、「海外生産→米国に輸出」ではなく「米国に工場を作って、米国向けの生産をする」というビジネスモデルを強制されます。
世界経済全体は「高関税」の悪影響で経済成長率にはマイナスの影響がでます。しかし、米国だけは、「国内に十分な需要を持っている」ため高い経済成長を維持できる可能性があります。
米国経済については、2つのシナリオがあります:
1)マイナスシナリオ:関税で輸入物価が上がる→インフレになって国内からトランプ政権に突き上げがくる。
2)プラスシナリオ:米国だけが、高い経済成長を享受でき、米国企業にも恩恵がくる
関税で米国の輸入物価が上がるが、販売数量維持のため海外の輸出企業は輸出品価格を(自らの利益を削って)下げて輸出するためアメリカで大きなインフレは起きず、一方で貿易赤字は(価格効果で)、減少する。米国のインフレ問題は顕在化しない。
一方、海外の輸出企業が出血低価格輸出に耐えられなくなったら、価格を上げて米国での市場シェアを失うか、米国に工場を作るしか方法がなくなる。
この場合、米国内で高い人件費を支払っても米国企業の製品はそれなりに売れることになる。米国国内の賃金はかなり増加するため、インフレの問題を吸収できる。さらに一方で、米国政府は関税で潤うため、各種の補助の余力ができる。
どちらのシナリオが現実化していくのか?
マイナスシナリオの場合は、金利上昇につながり、米国小型成長株にとってはかなりマイナスです。この数か月の米国小型成長株はこちらのシナリオを反映していると言えます。
一方で、プラスシナリオの場合は、米国小型成長株にとっては非常に強い追い風となります。
<外部材料>
従来から以下の3つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
今週は、米国小型成長株に悪材料となる動きはありませんでした。
ただし、ウクライナ戦争が再び、「影響力を及ぼす悪材料」になるかもしれません。
トランプ大統領が、「ロシアの停戦期限を8月8日」に設定したためです。2次制裁によって、原油価格が急騰したり、米ロの直接の緊張が高まった場合、明確に悪材料となります。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2025年8月2日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1454.21/6238.01=23.31%、
26週移動平均との乖離は-0.32%でした。
現在の水準は「この比率の新安値」です。米国小型成長株は、新たな「相対的な下落水準」に落ち込んでいます。長期的にみれば「異常値」がさらに「異常に」なっている状況です。
しかし、トランプ政策は長期的には米国小型成長株にとってプラスであると思っています。
「超割安な小型成長株の、長期的な買い場」を提供していると思っています。
→ 2021年6月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2024年11月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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