2025年5月16日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1405.12で終わりました。一週間前に比べて+69.96(+5.24%)と急上昇でした。
主要インデックスのNYダウ(前週末比+3.41%)およびSP500(前週末比+5.27%)と比較すると、ダウ平均にはかなりのアウトパフォーム、SP500とは同程度の上昇となっています。
米中が貿易交渉を行い、今後90日間は関税水準をかなり低いレベルで抑えるとの報道から安心感が広がり、急上昇となりました。さらに、発表された4月のCPIは「まだ関税の影響が大きく出ていない」こともあり、安定していました。株式市場は4月上旬の下落のかなりの部分を取り返すこととなりました。
<トランプ政策>
米中の交渉開始により、「少し息ができる」という感じになっています。しかし、トランプ大統領は、アップルのインド生産について注文を付け、またカナダや日本等との交渉の行方も不明です。
中国についても、「とりあえず90日」と言っているに過ぎません。
一方で、米国のクレジットレイティングが1ノッチ下落しました。今後長期金利は下がりにくくなります。また、減税を推し進める道も厳しくなります。
関税問題に加えて、不透明な材料も多く、しばらくは振り回される可能性があります。
しかしながら、米国政権が進もうとしている方向は、米国企業、特に小型成長株に追い風をなります。歴史的に非常に割安であり、今後大きな相場が来ると期待しています。
<外部材料>
現在は以下の3つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
トランプ大統領の中東訪問は、産油国からの米国への大幅投資及び米国からの大量の兵器・航空機の購入、という「ビジネス」に焦点を当てたものでした。シリアへの制裁も解除されました。一方で、イスラエス訪問が入っていません。また、ロシアとウクライナの直接交渉も成果がありませんでした。
トランプ政権は「戦争したければ勝ってにどうぞ、やめた方が良いよ。米国は拘わらないし、金も出さない。人権等の問題は、それぞれの国が国内問題として処理すればよい。米国から兵器は買ってもよいけど」という感じです。
民主党の「価値外交」とは一線を画し、中東諸国(の権力者)も「安心して米国と付き合える」という感じになっています。アラブの独裁国家と組んで、イランを追い込む戦略であり、中東は全体として安定する報告にあります。
しかし、欧州政治は今後さらに不安定となります。米国が価値外交を放棄したため、ウクライナ問題も絡む欧州のNATO諸国は「国防費をGDPの5%にする」方向に進んでいます。しかし、財政問題もあり本当に「リアル」に大幅に国防費を増加させられるのか?単にタイトルを国防費計上しているだけで、実際はこれまでとあまり変わらないのではないのか?予算は付けても兵員を確保できるのか?社会保障を犠牲にする軍事予算拡大を、国民が支持するのか?等々いろんな問題が発生する可能性があります。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2025年5月16日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1405.12/5958.38=23.58%、
26週移動平均との乖離は-0.86%でした。
現在の水準は「この比率の新安値」です。米国小型成長株は、新たな「相対的な下落水準」に落ち込んでいます。長期的にみれば「異常値」がさらに「異常に」なっている状況です。
しかし、トランプ政策は長期的には米国小型成長株にとってプラスであると思っています。
「超割安な小型成長株の、長期的な買い場」を提供していると思っています。
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