2025年2月14日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1508.32で終わりました。一週間前に比べ-3.05(-0.33%)の小幅続落となりました。主要インデックスのNYダウ(前週末比+0.55%)およびSP500(前週末比+1.47%)は上昇しており、小型成長株は明確に「負け」の一週間でした。
発表された経済指標は、CPI・PPIともに予想より伸び率が高く「インフレ懸念」が起こり、一方で小売り売上高が予想外に弱く、「インフレ懸念+景気不安」という小型成長株には最悪の環境でした。
しかし、主力株は「長期金利の落ち着き」によって週末かけて堅調に推移し、「市場の不安材料を小型成長株だけが受ける」という非常にアンバランスな一週間となりました。
<トランプ政策と米国小型成長株>
「トランプ政策は米国小型成長株にとっては、全体としてはプラス」と思っています。
背景は
・需要サイドは、大型株は「グローバル展開」しているのに対して、小型株は「より米国国内景気主導」であり、アメリカ第一主義のトランプ政策は小型成長株にとって追い風になると考えられます。
・問題は、インフレと金利の動きです。
悪いシナリオは、
関税によって輸入物価は上がる。移民を締め出すことで、労働需給がひっ迫することで賃金も上がる。一方で、景気は強い。結果的にコストプッシュ型+ディマンドプル型のダブルでインフレ率が再び上昇し、FRBは緩和姿勢を維持できない。
一方良いシナリオは、
DOGE(政府効率化省)によって規制緩和、財政規模削減、公務員の大量解雇により、
インフレ圧力は緩和される。特に環境関連の規制緩和によって石油生産も増加し、エネルギー価格は下落する。これらにより、関税上昇によるインフレ圧力は緩和される。
さらに、財政改善により米国国債市場の需給が改善し、長期金利は下がる。
一方、規制緩和+輸入締め出しによって、国内企業の業績は改善する。
上記は、ファンダメンタルの視点ですが、テクニカルの視点でも米国小型成長株の方が有利です。これは、M7などの主力大型IT銘柄はすでに非常に割高なためです。
主力大型株の影響を受けやすいSP500(およびオルカン)等の主要インデックスより、主力大型株の影響を受けない米国小型成長株が(少なくとも相対的)非常に有利であると思っています。
<外部材料>
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
トランプ氏が大統領となったことから、4つ全て、非常に大きな影響を受けます。
<ウクライナ情勢>
ついに「トランプ大統領とプーチン大統領による直接会話により、ウクライナ停戦協議が近くスタートする」ことになりました。
まだこれからも紆余曲折が予想されますが、重要なことは「停戦協議の開始を公にしたこと」によって、「少なくともウクライナ戦争が第三次世界大戦にはならない」ことは明確となりました。
長期的には「法の支配による国際情勢の秩序」といった考えは一段と弱くなります。(イスラエルやイラク侵攻はどうだったんだ!という突っ込みもありますが)
このため、「長期的」には新しい波乱の芽となる可能性もあります。
しかし、「西側諸国はウクライナを負けされられない。しかし自力ではウクライナがロシアに負ける」→「西側諸国によるウクライナへの軍事支援がエスカレートする」→「どこかでロシアのレッドラインに触れる」→「ロシアによる核攻撃」→「第三次世界大戦」という最悪のルートに陥る可能性はなくなりました。(多分)
米ロ直接交渉が始まったことにより、ウクライナ情勢は「米国小型成長株に影響を与える材料」からは外れることになります。
次回からは
・中国経済
・中東情勢
・欧州政治
が大きな外部材料となります。まずはドイツの総選挙の行方が注目されます。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2025年2月14日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1508.32/6114.63=24.67%、
26週移動平均との乖離は-0.65%でした。
この3年間、小型成長株は相対的に「大負け」の状況です。
金利上昇、一部の大型IT・AI企業の上昇など、負け材料が連発でした。
現在の小型成長株の相対的な水準は、この20年間で最低水準にまで下がっています。
主力インデックスに比べて、「歴史的な割安状態」にあります。
トランプ政権によって、「超割安な小型成長株の、長期的な回復相場が始まる」と期待しています。
→ 2021年6月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2024年11月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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