2025年1月17日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1505.58で終わりました。一週間前に比べ+50.25(+3.45%)の大幅反発となりました。主要インデックスのNYダウ(前週末比+3.69%)及びSP500(前週末比+2.91%)と比べても同程度の動きでした。
一週間前は、「景気は強い=FRBのさらなる利下げは遠のく」→「長期金利の上昇」によって株式市場は下落しましたが、今週は「発表されたPPI、CPIがともに予想を下回った=インフレは加速していない」→「長期金利の下落」となり、株式市場は反発しました。
この2週間の動きをまとめると「景気は強い」しかし「インフレは加速していない」、ということであり、米国小型成長株にとって非常に理想的な環境であることがわかります。
<トランプ政策と米国小型成長株>
「トランプ政策は米国小型成長株にとっては、全体としてはプラス」と思っています。
背景は
・需要サイドは、大型株は「グローバル展開」しているのに対して、小型株は「より米国国内景気主導」であり、アメリカ第一主義のトランプ政策は小型成長株にとって追い風になると考えられます。
・問題は、インフレと金利の動きです。
悪いシナリオは、
関税によって輸入物価は上がる。移民を締め出すことで、労働需給がひっ迫することで賃金も上がる。一方で、景気は強い。結果的にコストプッシュ型+ディマンドプル型のダブルでインフレ率が再び上昇し、FRBは緩和姿勢を維持できない。
一方良いシナリオは、
DOGE(政府効率化省)によって規制緩和、財政規模削減、公務員の大量解雇により、
インフレ圧力は緩和される。特に環境関連の規制緩和によって石油生産も増加し、エネルギー価格は下落する。これらにより、関税上昇によるインフレ圧力は緩和される。
さらに、財政改善により米国国債市場の需給が改善し、長期金利は下がる。
一方、規制緩和+輸入締め出しによって、国内企業の業績は改善する。
大型株、特に大手IT銘柄は非常に割高であり、本来ならば米国小型成長株の見直し買いが入りやすい環境にあります。
1月20日、ついにトランプ政権がスタートします。
良い目がでるのか?それとも悪い目が出るのか?注目です。
<米国株は割高?>
2024年12月上旬に出されたウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の記事によれば、長期的な視点でみれば米国株式はかなり割高であるとのことです。
そして、それは超大手IT関連銘柄が割高を作り出しているとのことです。
現在、日本の一般投資家に人気の投資信託であるSP500インデックスファンド、そしてオルカン(オールカントリー)はともに、この「割高な超大手IT銘柄」の影響を受けます。
米国小型成長株は当然ながら、超大手IT銘柄は入っていません。
また、米国小型成長株は別の視点でも魅力的です。「分散投資効果」です。
米国小型成長株は「SP500及びオルカン」とは構成銘柄が全く重なりません。
この点で、「SP500及びオルカン」の投資家にとって、リスク軽減のための「最善の分散投資対象」とも言えます。
長期的に利益の成長率が高く、かつ、割安であり、さらに「自分の持っているSP500やオルカンとは重ならない」という特徴を持つ、米国小型成長株は理想的な投資対象であると思っています。
<外部材料>
従来から、以下の4つの材料を懸念しています。
・中国経済
・欧州政治
・中東問題
・ウクライナ
トランプ氏が大統領となったことから、4つ全て、非常に大きな影響を受けます。
今週も、引き続き米国小型成長株に大きな影響を与える材料は出ませんでした。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2025年1月17日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1505.58/5996.66=25.11%、
26週移動平均との乖離は-0.28%でした。
この3年間、小型成長株は相対的に「大負け」の状況です。
金利上昇、一部の大型IT・AI企業の上昇など、負け材料が連発でした。
現在の小型成長株の相対的な水準は、この20年間で最低水準にまで下がっています。
主力インデックスに比べて、「歴史的な割安状態」にあります。
トランプ政権によって、「超割安な小型成長株の、長期的な回復相場が始まる」と期待しています。
→ 2021年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2024年11月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
コメント