2023年9月29日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1140.98で終わりました。一週間前に比べ+6.51(+0.57%)と小幅反発しました。主要インデックスのNYダウ(前週末比-1.34%)やSP500(前週末比-0.74%)は下落したため、相対的には強い動きでした。
この3週間ほど、主力インデックスに対してかなり負けていたため、さすがに反動があった感じです。しかし、傾向としては、小型成長株は弱い動きが続いています。
<米国政治>
今週は、米国連邦政府の債務上限問題が解決しないことから、政府機関の閉鎖が心配され、株式市場も冴えない動きが続きました。期限ギリギリで、「つなぎ予算」が可決され、何とか政府閉鎖は回避されたものの、45日後が思いやられます。
共和党主流派と民主党が、共和党強硬派を排除する選択をしたのですが、これがどのような流れを作るのか注視しています。「強硬派」は、議席数では共和党内で少数派ですが、大統領候補として圧倒的な支持率を持つトランプ氏と結びついています。また、共和党支持者内では「ウクライナへの援助に消極的」が主流です。
議会上院は、メネンデス上院議員の汚職問題があり、下院は上述の「共和党強硬派切り捨て問題」があります。これから45日間にどんな展開となるのか?という感じです。
ところで、米国の債務上限問題は「目立つ」材料ですが、市場参加者も「まあいろいろあっても、さすがに最後は、政府機関閉鎖は避けるだろう」と、予想していたと思います。しかし、UAWのストに対して、バイデン大統領が激励したことは、「本質的・長期的に」株式市場に影響を与える可能性があります。
「本当にEV化を強烈に進めたいのか?」「賃金インフレを容認するのか?」等々、根本的に大きなトレンドを形作る材料となるからです。
<外部材料と中国経済>
以前より注目している外部材料は、以下の3つです。
・中国経済
・ヨーロッパの政治
・ウクライナ侵攻
今週は、中国の恒大集団の債務問題が再燃し、さらに創業者が当局に拘束されているとのニュースが出ています。以前より書いていますが、「中国の不動産問題は、膨大なバランスシートのゆがみ(資産価値の裏付けのない膨大な負債)があるため、最終的には中国政府が救済を覚悟するしか解決できない」と考えています。
もちろん猛烈な流動性供給をして、より大きなバブルを作る方法もありますが、莫大な不動産在庫がある人口減少社会で、かつ、一度値上がり期待が裏切られた段階では、問題をさらに複雑化させます。中国政府の覚悟の政策が発表されるまでは、不動産問題はくすぶり続けると思っています。
ヨーロッパの政治は、ポーランドは続報がありませんが、スロバキアでは「親ロシア政党」が議会選挙で勝利しました。米国の「つなぎ予算」もウクライナ援助を「とりあえず外す」ことで解決し、「ウクライナ疲れ」は欧州のみならず米国でもリアルに表面化してきました。
ウクライナの戦線の状況は、相変わらずウクライナにとって非常に厳しい状況が続いています。(今週はほとんど進軍できなかった)逆に、ロシア軍による北東部の攻勢が心配されています。
以前より、10月に入ると天候的にウクライナ軍の反転攻勢継続が難しくなる、と予想されていました。「戦線の停滞」+「ウクライナ疲れの表面化」となった状態で、このまま冬を迎えてしまうと、「なし崩し的な停戦」になりかねません。ウクライナに「何かスペシャルな事」が必要となってきました。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2023年9月29日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1140.98/4288.05=26.61%
26週移動平均との乖離は-0.82%でした。
2020年12月中旬に長期的な持ち合いレンジを上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
2022年7月から27%~28%程度で「底値での横這い」という感じでしたが、2023年9月にはいり、さらにこのレンジを下に突き抜けています。
上記の分析は単純にインデックスの水準だけを比較したものですが、ファンダメンタルデータ(利益水準およびPER)で比較しても、現在の小型成長株はかなり割安です。
「小型成長株は割安」になって1年以上となりますが、そろそろ小型成長株相場が来て欲しいと思っています。
→ 2020年4月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2023年8月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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