2022年10月28日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1048.49で終わりました。一週間前に比べ62.71ポイントの大幅続伸(+5.78%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+5.72%)やSP500(前週末比+3.95%)の上昇率も上回り、先週の相対的な負けを回復した一週間でした。
マクロ経済のデータは、市場コンセンサスに比べてGDPはやや高い成長、デフレーターは逆にやや低い伸びとなりました。結果的に長期債金利は低下しました。
一方、企業決算は銘柄ごとに勝ち負けがありますが、全体的に良好で、長期金利低下という好材料をそのまま好感し、株式市場はかなり強い反発となりました。
数週間前からこのコメントで言っていますが、現在株式市場は「売り材料には底堅く、もし何か明確な買い材料があればかなり反発する」相場となっています。
<アメリカの一人勝ちは続くのか?>
ドル建てのMSCIインデックスを見ると、この10年間、特にこの5年間の米国株の一人勝ちが目立ちます。この1年は、米国の株式市場も下落しているものの、ドルの独歩高により他の市場はドル建てでは強烈な下落となっており、米国の相対的な強さは維持(あるいはさらに強く)されています。
MSCIワールドインデックス(先進国市場)の国別ウェイトは、米国が70%のウェイトとなっています。MSCIエマージングに入っている中国株も人民元建てで暴落、さらに人民元も下落しており、米国との差は大きくなっています。
そもそも、このウェブサイトは「米国株が良い、特に小型成長株が良い」という考えがもとにスタートしました。
起業家の先進性、リスクを取る姿勢や文化、多元的な社会と人種、豊富な資金等々、米国の小型成長株の長期的な成長性を支えるバックグラウンドは全く衰えていません。むしろ、ライバルであった中国が一段と「共産主義的なトレンド=成長より平等を進め」さらに「人口動態的なマイナス」に加え「ロシアや一帯一路で失敗した国々等、経済的には落ちこぼれの国々とタッグを組む」というマイナスまであるため、米国の相対的な有利さは強くなっています。
しかし、世界の株式市場の70%が米国株で、それがさらに高まる事は本当にあり得るのか?少し自己矛盾的ですが、このまま米国株一本やりでいいのか?
米国株を売って、どの国の株を買うのか?
円安メリットで成長が復活する(かも?)日本株?
ロシアの問題がフェードアウトして、売り込まれたユーロが復活する(かも)欧州株?
米国の金利高で、今後経済破綻が多発すると懸念されるが、このリスクは既に織り込まれている(かも?)エマージング株?
世界の歴史は、乾隆帝の時代に戻って東洋が西洋に勝つ時代が復活(かも?)で、中国株?
どのシナリオも、「かも」が付き、どれも可能性が低い気がします。
しかし、米国株の一人勝ちが凄すぎて・・・。
メタ、アマゾン等の大手IT株がかなり下げています。多くの米国株はあまり下げず、大手ITが集中的に暴落して、米国株インデックス(特に大型株インデックス)が下がるのか?
それとも、(大手IT株ではなくて)ドルがバブルで、FRBの姿勢が軟化したとたんに、一気にドル暴落となるのか?
そして小形成長株は、引き続き長期的な成長軌道を維持できるのか?
いろいろと考えさせられます。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2022年10月28日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1148.49/3901.66=29.44%
26週移動平均との乖離は+1.10%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。2022年7月から反発トレンドになっていますが、現在でも歴史的な安値水準にあります。
まだまだ、小型成長株は買い、と思っています。
→ 2020年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2022年9月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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