2022年9月2日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1128.93で終わりました。一週間前に比べ57.52ポイントの大幅続落(-4.85%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-2.99%)やSP500(前週末比-3.29%)の下落率も上回り、かなり厳しい下落となっています。
労働市場は、市場予想よりやや弱めの数字でしたが、「この程度であればまだ景気は十分に強く、FRBのタカ派的な政策を鈍らせることはない」、との見方から株式市場は続落となりました。小型成長株は、主要インデックスに比べて先週はやや小幅だったこともあり、今週は主要インデックスをかなり上回る下落となりました。
<アメリカの景気と金融政策>
8月の非農業部門雇用者数は市場予想並み、失業率はやや高く、平均時給はやや低い数字でした。求職者が増えており、雇用市場の過熱感は少し低下してきています。また、国際商品市況も、中国景気の低迷とドル高(+マネーサプライの低下)で、弱いトレンドが継続しています。
しかし、景気に明確な減速の兆候が見えないため、FRBのタカ派的政策が継続するとの見方が、株式市場を下落させています。
今後は、以下2つのルートがあります。
・景気が悪くなる、だから、インフレが低下する。その時まで、FRBのタカ派的政策が続く。
・景気はそこそこ維持する、しかし、賃金圧力の低下と国際商品市況の下落でインフレが下がっていく。FRBのタカ派的政策もフェードアウトしていく。
どちらのルートをたどるかを見極める相場になります。市場は前者を織り込みにいっています。実態経済が、少しでも後者の可能性を見せ始めると、市場のトレンドが変わると思います。
<ウクライナ情勢>
今週気になる動きは、「欧州の天然ガス」です。
ロシアがノードストリームを止めて、ドイツに嫌がらせ(としか取れない)をしています。
対抗するG7はロシア産原油の上限価格設定の導入を志向しています。フォンデアライエン欧州委員長は、ロシア産天然ガスについても、同じような上限価格設定を設けたいと発表しました。
一方、EU・欧州内の「反攻派」も増えてきました。トルコ、ブルガリア、セルビア、ハンガリーのルートで、オセロゲームの石がひっくりかえるように、ロシアからのガス購入増加に傾いています。欧州内で、完全に相反する動きが表面化してきました。
ウクライナは南部戦線で、いくつか戦果が上がっているとの報道が続いています。欧州内の分裂が大きくならない前に、一気に状況を好転させることが必要になります。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2022年9月2日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1128.93/3924.26=28.77%
26週移動平均との乖離は+0.62%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。2022年7月から反発トレンドになっていますが、現在でも歴史的な安値水準にあります。
まだまだ、小型成長株は買い、と思っています。
→ 2020年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2022年7月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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