2022年8月12日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1256.99で終わりました。一週間前に比べ56.83ポイントの続伸(+4.74%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+2.92%)やSP500(前週末比+3.26%)の上昇率を上回り、「小型成長株の強さ」が継続しています。
注目された7月のCPIが予想を下回ったことから、インフレのピークアウト期待が一気に高まり、株式市場は堅調に推移しました。
この4週間でSP500は10.79%、ラッセル2000グロースは16.79%と急騰しており、さすがに短期的にはペースダウンが予想されます。
しかし、長期的な視点でみると小型成長株の割安は依然として解消されておらず、小型成長株の買い場は継続していると思っています。
<ウクライナ情勢>
ウクライナの反撃のニュースがいくつかありましたが、全体として戦線は膠着しています。西側先進国(特にイタリアやドイツ等)の援助疲れが明確になる前に、ウクライナが決定的な戦勝をあげてもらいたいと思っています。
本日の日経新聞の記事「ロシア、SNS戦反攻」を見ると、むしろ欧州でのウクライナ疲れが明確になりつつあります。
「暑さ寒さも彼岸まで」、という言葉があるように、9月下旬を過ぎると一気に朝夕の気温が下がります。そこからは日に日に気温が下がるため、天然ガス不足の生活への悪影響が高まります。夏の間に、ウクライナにとって「明確にポジティブな何か」が必要です。
<中国経済>
米国のCPIのピークアウトは、国際商品市況等をみれば、ある程度予想された動きであると思います。しかし、「予想外」の数字は8月12日に発表された、人民元建て新規融資です。
7月は6790億人民元でした。ロイターによれば、市場予想は1兆1000億元、6月は2兆8100億元、2021年7月(1年前)は1兆0800億元だそうです。急減しています。
この4週間のアメリカ株の反発は
・企業収益は予想ほど悪くない
・インフレはピークアウトするから、FRBの大幅利上げも持続力がそがれる
という理由に基づいています。
中国の景気減速は、国際商品価格の下落を通じて、アメリカ国内のインフレ期待を緩和するように、「プラス」に働いてきました。しかし、この新規融資の急減を見ると、「プラス」と単純に見つづけられるのか、心配になります。
国際商品市況の一段安が強烈になったら、米国株にとってプラス材料からマイナス材料に変化するのか?それとも、ここまで中国景気が悪化すれば、「地方政府、金融機関、不動産会社が何とかしろ。中央政府は見守るから」という現在の中国政府の方針が変化するのか?
もはや、「地方政府、金融機関、不動産会社」に任せるだけでは、明らかに「支援不足」であることがはっきりしている以上、中国政府が「直接何かする」段階にきているのでは、と思っています。
中国政府の動きと、国際商品市況の動きを注視します。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2022年8月12日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1256.99/4280.15=29.37%
26週移動平均との乖離は+1.21%でした。29%を超えるのは、2022年3月14日以来で、5か月ぶりです。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。2022年7月から反発しましたが、現在でも歴史的な安値水準にあります。まだまだ、小型成長株は買い、と思っています。
→ 2020年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2022年7月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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