2022年7月22日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1117.29で終わりました。一週間前に比べ41.02ポイントの急反発(+3.81%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+1.95%)やSP500(前週末比+2.55%)を超える上昇でした。いよいよ小型成長株のリカバリー相場が来てくれるのでしょうか?
先週と同じく、景気の行方に対する気迷いが出た一週間でした。
アメックスによれば旅行需要は引き続き非常に強いようです。一方、失業保険申請件数など景気の悪化を示すデータもありました。企業業績も全体としては予想ほど悪くない印象ですが、スナップ等強烈に悪い銘柄もあります。
商品市況の下落や10年債等の国債利回りの低下も「景気の悪化?それとも、インフレのピークアウト?」と相反する解釈が可能であり、弱気派・強気派ともに決定的ではない状況が続いています。
しかし、相場は弱気派と強気派がいる段階で底入れをすると思っています。全てが強気になった時には「次に買う人はいない」わけですから。私は、株価のバリュエーションは相当割安であり、一方でインフレのピークアウトは期待しやすいのでは?と思っています。
<ウクライナ情勢>
今週は、ウクライナ疲れを象徴するようなニュース、ウクライナの反撃をサポートするニュース、停戦をにおわせるようなニュース、が混在した一週間でした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウォールストリートジャーナルとのインタビューで「領土を奪われた状態での停戦は受け入れない」と言いました。
混在したニュースと、ゼレンスキー大統領のコメントをみると
「ウクライナをサポートしている国は疲れている。だからゼレンスキー大統領に停戦するようにプレッシャーをかけている国もある。しかし、その要請を拒否したいゼレンスキー大統領は、もうすぐ反撃できるから、今停戦など言わないで待ってくれ、と言っている」
そんな感じでしょうか?
ウクライナの戦闘継続をサポートしたい米国と英国は「ロシアの戦闘継続が難しくなっている。ウクライナの反撃が勢いを得つつある。アメリカは戦闘機の提供も検討している」と、ウクライナの本格反撃は近いし、成功するというメッセージを出し続けています。
一方、ドイツ、イタリア、ハンガリー等は停戦にモメンタムをつけたいように見えます。
ウクライナの本格反撃は、待ったなしです。時間がかかるようなら、停戦プレッシャーが一段と強くなります。
<中国の不動産問題>
先週のこのコメントで触れましたが、「未完成マンションへの住宅ローン支払い拒否問題」が一段と拡大しています。
ゼロコロナ政策で消費者の気持ちが萎えている、かつ、マンション在庫が強烈に多い、という環境下で、中国の不動産会社(と地方自治体)は
・膨大なマンション在庫を売却する
・さらに未完成のマンションも完成させる
・しかし、値段は大きく下げてはいけない
という3つの問題を解くことを中国政府から要請されています。
要請する以上、中国政府も「強烈な景気刺激策」をすると思われます。
短期的な景気刺激策を評価すべきか、それとも、長期的な矛盾のさらなる拡大を懸念すべきか。
歴史を見ると、「バブルを破裂させないようにする力が、バブルの矛盾に抵抗できないポイントで」バブルは破裂します。
中国にはまだ「バブルを破裂させない力」はあるのでしょうか?それとも今回は矛盾の方が大きいのか?見極める必要があります。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2022年7月22日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1117.29/3961.63=28.20%
26週移動平均との乖離は+0.09%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しました。しかし、その後継続的に下落し、レンジの下を抜けました。
この3ヶ月ほど、27%程度の水準で横ばいを続けていましたが、少しづつ上昇局面に入ってきそうな気配です。
→ 2020年1月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2022年6月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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