2022年2月11日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1287.42で終わりました。一週間前に比べ18.77ポイントの続伸(+1.48%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-1.00%)やSP500(前週末比-1.82%)は下落しており、相対的には強い動きでした。1月の急落で、小型成長株は相当割安になっており、その修正の動きが続いています。
週前半の市場全体は反発が続きましたが、後半になってインフレ高進とウクライナ危機への懸念から急落しました。金利と地政学的リスクという2つの売り材料は、まだしばらく市場全体の重しとなります。神経質な相場が続くと予想されます。
<ウクライナ危機について>
ロシアが近々ウクライナに侵攻する可能性があると言われています。ウクライナを守るために、西側諸国がロシアに圧力をかけていると言われています。「侵攻したらロシアに対して非常に厳しい経済制裁を加えるぞ」というメッセージを送って。
しかし、このストーリーは本当なのでしょうか?少しうがった見方をしたくなります。もしかしたら、西側諸国がプレッシャーをかけているのはロシアではなくてウクライナなのでは?
アメリカも日本も、「侵攻が近いからウクライナから退避するように」と現地の米国人や日本人に勧告しています。それに対して、ウクライナは「パニックにならなくてよい」というメッセージを出しています。ウクライナは「危機ではない」と言いたいような態度です。
西側諸国の企業も市民も一斉にウクライナから撤退すれば、ウクライナ経済は壊滅的なダメージを受けるはずです。今のままでは、ウクライナはロシアからは軍事的圧迫、西側からは経済的圧迫を受け続けることになります。
そもそもウクライナの状況は一部自業自得でもあります。今回の危機は、ウクライナのゼレンスキー大統領がミンスク合意をひっくり返そうとしたことが発端です。再選をするためには、愛国心を刺激したかったことが背景と言われています。アメリカも欧州もウクライナにミンスク合意の順守を求めています。ウクライナがミンスク合意を尊重するなど、ロシアの意向に沿った方向に動けば、NATOの東方拡大の問題は残るものの、当面の危機は去る可能性があります。
ウクライナの通貨であるフリヴニャはまだ落ち着いており、壊滅的な状況は想定されていないようです。そして(ロシアはもちろん)西側も本音はウクライナにプレッシャーをかけているかも?という感じもします。ウクライナがロシアの意向を少し尊重し、ロシアも鉾を収める。それがメインシナリオであって欲しいと思います。
しかし、歴史を見ればサラエボ事件のように突発的な事件や事故が、本来の意図とは離れて戦争を起こしてきました。現在のような非常に緊張した環境下では、ほんの些細なことが致命的になります。しばらくは目が離せません。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2022年2月11日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1287.42/4418.64=29.14%
26週移動平均との乖離は-3.32%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しましたが、再びこの歴史的なレンジに戻っていました。しかし、ここにきてこのレンジの下を抜けました。
現在の水準は、2020年のコロナの最悪期をも超える、歴史的な割安水準になっています。相対的には歴史的な買い場となっており、非常に魅力的な投資機会を提供していると思っています。
→ 2019年10月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2022年1月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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