2021年8月20日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1469.51で終わりました。一週間前に比べて、40.05ポイントとかなり大きな下落(-2.65%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比-1.11%)やSP500(前週末比-0.59%)に比べても小型成長株の弱さが継続しています。
<景気と小型成長株>
今週は大きく上下に振れた一週間でした。週の前半はFOMC理事会議事録から、早めのテーパリングが予想され、株式は全般に下落しました。しかし、週の後半は、デルタ株による感染者の急増により、景気回復の遅れが金融緩和継続への期待を高め、逆に株価は反発しました。
しかし、小型成長株は前半の下落(テーパリング)は主力株に比べて一段と売り込まれ、後半の反発(景気後退による金融緩和継続)に対しては、「景気後退=業績悪化懸念」となることで、反発が限られました。結果的に、かなり大きな下落となりました。
2021年2月中旬以降、小型成長株は主力株に対して一貫して負けています。2020年9月~2021年2月までのアウトパフォームが急激であったことから、2021年4月まで下落はその反動としてのアンダーパフォームでした。しかし、この3か月間は「景気過熱→金利上昇、テーパリング」で売られ、「デルタ株による景気不透明感→業績懸念」でも売られるという、「どっちにいっても売られている」状況です。
しかし、2020年春もそうでしたが、ここまで主力株にアンダーパフォームすると、歴史的には買い場となっています。このコメントでは5月以降常に「長期的な買い場」と言い続けていますが、過去のデータを見ると、依然としてこの見方は変えていません。
またアクティブ運用を行う「米国小型成長株の投資信託」は、インデックスであるラッセル2000グロースを長期的にかなりアウトパフォームしています。
→ 米国小型成長株に投資する投資信託の3年~5年のリターン比較
この傾向は、今年の5月~7月も変わっていません。例えば、SBIアセットの以下の2つの投資信託と、そのベンチマークのリターンを比較すると明確にわかります。
2021年7月末の円建てリターン比較
ファンド/指数 | 過去3ヶ月 | 過去6ヶ月 | 過去1年 |
SBI:バンガードSP500 | +5.72% | 22.85% | 44.05% |
SP500 インデックス | +5.74% | 22.90% | 44.04% |
SBI:グレートスモール | -0.97% | 6.63% | 51.97% |
ラッセル2000グロース | -2.25% | 3.66% | 47.17% |
2021年7月末時点の過去3ヶ月(2021年4月~7月)、過去6ヶ月(2021年1月~7月)は、米国小型成長株が「歴史的」にアンダーパフォームした時期です。
しかし、過去1年間ではラッセル2000グロースとSP500はほぼ変わりません。(むしろ3%ほど小型成長株がアウトパフォームしています)。
注目すべきは、SBIグレートスモール(小型成長株に投資するファンド)です。過去3ヶ月、6ヶ月もベンチマーク(ラッセル2000グロース)に対して、安定してアウトパフォームしています。
そして過去1年間では、ラッセル2000グロースはもちろん、SP500に対してもかなりアウトパフォームしていることがわかります。
2021年3月~現在までは、小型成長株の歴史的な(相対的)下落相場でした。しかし、その中でも「下げ止まっている優秀なファンドがある」と言えます。
<小型成長株相場とラッセル2000グロース VS SP500 >
2021年8月20日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1469.51/4441.67=33.08%
26週移動平均との乖離は-3.55%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、2013年から長期的に32%~38%のレンジで推移してきました。2020年12月中旬にこのレンジを一次上に離れ43%まで急上昇しましたが、再びこの歴史的なレンジに戻っています。
短期的には厳しき状態が続いていますが、長期的に小型成長株は主要インデックスに勝っており、魅力的な投資機会を提供していると思っています。
→ 2019年6月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2021年7月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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