2020年12月4日の米国小型成長株インデックス(Russell 2000 Growth)は、1364.90で終わりました。一週間前に比べて、20.29ポイントの続伸(+1.51%)でした。主要インデックスのNYダウ(前週末比+1.03%)やSP500(前週末比+1.67%)とほぼ同水準の動きとなっています。依然としてコロナの新規感染者数は急増していますが、ワクチン接種が具体的になってきたこと、景気の回復の鈍化に対しては金融・財政政策の下支えが期待できること、という安心感から、底堅い動きとなりました。
<コロナとアメリカ社会>
ついにワクチン接種のスケジュールが具体的に見えてきました。米国の新規感染者数は一向に減りませんが、株式市場は問題を無視して、「コロナの闇の先」を見据えた動きとなっています。
アメリカ社会にも変化があります。春の感染急増時期には野球(MLB)もバスケット(NBAや大学)も試合を長期間中止しました。しかし、現在リーグ戦の真っただ中にあるアメリカンフットボール(NFLや大学)は、「選手に感染があっても少数ならばそのまま試合を行い、多数に及んでも1週間程度の延期やリスケで対応」となっています。州によっては、観客も入れています。
アメリカンフットボールが、野球やバスケットに比べて圧倒的に人気が高く、また経済的規模が大きいことを考慮しても、この「対応の違い」は、アメリカ社会の「コロナへの耐性の変化」を示しているのでは?と思います。
もちろん、州によって対応は異なります。カリフォルニアやNY州は依然として厳しい対応を市民に求めています。しかし、米国全体としてはコロナを受け入れながら経済活動をしているようです。
<波乱材料>
依然としてトランプ氏は敗北を認めていませんが、「大逆転」の可能性を市場が織り込んでいるとは思えません。むしろ市場が気にするべきは、この4年間の政策・路線を変更できないように、トランプ氏が「バイデン氏の進みたい方向に徹底的な破壊活動」を行うことです。
ファーウェイCFOへの司法取引の提案、中国企業に対する取引禁止リストの拡充、中国共産党員へのビザ発給の制限、中東の新イスラエル・反イラン政策に基づく思い切った行動・・・等々
しかし、前々からこのコメントで書いていますが、「中国や香港の銀行への痛みを伴う制裁」が無い限り、外交問題から米国株式市場に大きな波乱はないと思っています。あと1ケ月あまり、この劇薬、を使わないままトランプ氏はやめてくれるのでしょうか?
但し、もしこの劇薬が使われて株式市場に波乱があっても、FRBは「波乱を拡散させないように動く」ことも明確です。波乱は短期に終わると予想され、むしろ絶好の買い場となります。
本格的な株式市場の調整は、「コロナがワクチンで克服され、経済活動が軌道に戻り、じゃぶじゃぶの金融政策が正常に戻りそうな気配がでてくる時」と思っています。まだしばらくブル市場が続くと期待しています。
<米国小型株 対 主力株>
12月4日時点の、ラッセル2000グロース÷SP500は1364.90/3699.12=36.90%
26週移動平均との乖離は、+2.75%でした。
ラッセル2000グロース÷SP500は、長期的に32%~38%のレンジで推移していました。
短期的には割高、長期的にはやや割高となっています。ただし、2013年以降続いたレンジを上に抜ける可能性もあります。この場合、かなり長期の「小型成長株相場」が続くことになりそうです。
→ 2019年4月以降の小型成長株とS500の相対比較の推移
→ 小型成長株関連投資信託のパフォーマンス(2020年10月末時点)
(過去の市場コメントは、「アメリカ成長株(米国成長株)市場」)
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