アメリカ成長株: ワールド・レスリング・エンターテイメント(World Wrestling Entertainment)の概要
ワールド・レスリング・エンターテイメント
World Wrestling Entertainment Inc
ティッカーコード:WWE
上場市場:NYSE
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/WWE
今回紹介するワールド・レスリング・エンターテイメント社は、World Wrestling Entertainment の頭文字WWEで有名な、プロレス興行を行う会社です。
同社のプロレス番組は、アメリカ・日本はもちろん、世界180カ国の10億家庭に、30言語を通じて放映されています。米国内に約1100万人のファンがおり、大きなイベントでは海外でも合計で数千万人の視聴者が番組を見ています。
同社のプロレスは「格闘技・スポーツ」ではなく、「家族にフレンドリーなエンターテインメント」として提供されています。レスリングの試合のみならず、全体としてストーリーや各レスラーに与えられた役どころを通じて、観客に感動を与えることを目的としています。
同社の「プロレスの試合」は、次のテレビ番組を軸としています。
・月曜の夜に放映されるMonday Night Raw
・金曜日の夜に放映されるFriday Night Smackdown
この2つがメインの番組になります。それぞれに参加するレスラーが分かれており、別個のストーリーが展開されます。さらに最近新たに追加されたのが火曜日の夜に放映されるWWE NXTです。(もともとは他社の番組をWWEが買収して、WWEのプログラムとしたもの)
2022年の米国国内の視聴者数は、RAWが160万人~200万人(平均177万人)、Smackdownが200万人~220万人(平均210万人)、WWE NXTが40万人~70万人(平均60万人)となっています。毎週合計で約450万人の視聴者があります。
米国の視聴者数の場合、地上波(無料)とケーブルテレビ・ストリーミング(有料)では当然ながら差がありますが、WWEの場合はすべてケーブルやオンディマンド経由であり、有料放送になります。にも拘わらず、毎週200万人近くの視聴者を集める番組を2つも持っていることになります。
参考のために他の米国の大手スポーツの有料放送での視聴者数を比較すると以下の通りです。WWEの番組は野球やバスケットに匹敵する人気があることがわかります。(フットボールは別格なので比較になりませんが)
・MLB(野球):その週の一番見られている試合:150万人~170万人
・NBA(バスケット):平均的には150万人~170万人
・NFL(アメリカン・フットボール):約1500万人
(注:NFLほとんどの試合が地上波となっています。月曜日の夜の試合はESPNがMonday Night Football として放送しています。)
同社の3つの事業は3つのカテゴリーで経営されています。
1) Media:試合の視聴料収入や放映権収入、映像商品の販売
2) Live Event:アメリカを中心に年間500の大会(イベント)が行われており、その観客入場収入
3) Consumer Products:ライセンス料収入
コロナ前~現在までのカテゴリー別の売上および営業利益の推移は以下の通りです。(単位百万ドル、最新の状況を見るために、第二四半期で比較します。)
2019年2Q | 2020年2Q | 2021年2Q | 2022年2Q | |
Media | 197.0 | 200.1 | 233.9 | 243.1 |
Live Events | 48.8 | 1.0 | 9.2 | 41 |
C. Products | 23.1 | 22.3 | 22.5 | 44.1 |
売上全体 | 268.9 | 223.4 | 265.6 | 328.2 |
営業利益 | 17.1 | 55.7 | 46.3 | 69.3 |
コロナ禍の間は、無観客のためLive Eventの売上は大きく落ち込みましたが、巣ごもりでテレビ視聴者は堅調に推移し、Mediaと Consumer Productsの売上は2019年から2020年ではほぼ変わらない水準でした。
コロナが終わり、観客を入れたイベントが復活するに従い、同社の成長は再び回復し、2021年には2019年の水準を回復し、2021年→2022年では24%もの増収となっています。
営業利益については、2020年は減収であったにも関わらず、巣ごもり需要で有料サービスの利用者増によりコロナ禍で大幅増益を達成しています。
年間では、2021年の売上10.95億ドル(対前年比12%の増収)、営業利益2億5900万ドル(同24%増)でした。
日本でプロレス興行というと社長の個人経営の会社という感じですが、さすがに全世界に放映しているだけあって、年間売上1500億円という別格の規模を誇ります。
コンテンツの競争力が、コロナで証明された感じもあり、今後とも成長が期待されます。
会社ウェブサイト
https://corporate.wwe.com/
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