アメリカ成長株:ウエザーフォード・インターナショナル(Weatherford International)の概要
ウエザーフォード・インターナショナル
Weatherford International plc
ティッカーコード:WFRD
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/WFRD/performance
ウエザーフォード・インターナショナル社は、世界75カ国でエネルギー会社向けに掘削、評価、配管、汲み上げ、移送、閉鎖などの総合的な油田サービスを提供するグローバル企業です。
石油・ガス生産事業の主体は顧客企業であり、同社は機器の提供と技術面のサポートを担当します。
事業は主に3つのセグメントに分けられます。
1.掘削と評価(DRE)セグメント:
・管理された掘削、ボーリング調査、井戸の安定化、削られた土壌の排出、圧力の制御などの一連のサービス。
・井戸の調査、修理、改善およびチューブの設置のサービス。
・採掘方向の制御システム、掘削中のログ記録、井戸の拡張技術による採掘効率の最大化。
・自動化と情報分析による安全性の向上、井戸建設コストの削減、事故リスクの軽減により全ての環境での生産増加を実現。
・井戸建設効率に影響を及ぼす掘削廃棄物管理。
・ドリルの回転速度制御、突発的噴出の防止装置、圧力管理のシステム。
・リアルタイムの岩石物理学、イメージング、地質力学、地球物理学データからの地層分析によってその場で掘削を調整。
2.坑井建設と完成(WCC)セグメント:
・複数の原油汲み上げ機械を最適に組み合わせて自動制御するハイブリッドシステムにより汲み上げ量を最適化。
・坑内に落とした工具や材料の引き上げ、詰まった井戸の清掃、使わない井戸の閉鎖など事故やトラブルに対応。
・軟弱地盤を固める際に、必要な位分だけに正確にセメントを打つことで、厚さや強度を確保し、井戸の安定稼働を実現。
・高圧、高温や深海のような極限世界での最も厳しい井戸環境向けに設計された高性能の配管システムにより、地層間の圧力バランスを維持し、高圧の地層から低圧の地層への流体の移動を防ぐ。
・井戸の特定の部分を封鎖したり、流体の流れを制御したり、井戸内の圧力を管理したりすることによる採掘の効率的と安全化。
・採掘作業をスムーズに行い、より多くの石油やガスを回収するための最新の技術とデジタル化機能を活用した一体型のシステム。
・ワイヤーライン(井戸内に機器を送り込むためのワイヤー)の操作から、リグ(掘削装置)の修復までを含む原油やガスの採掘に関する全ての作業を管理する包括的なサービス。
3.生産と介入(PRI)セグメント:
・掘削作業を自動で制御するシステムや、井戸の底での温度や圧力などを計測するセンサーを提供し、掘削後、配管やポンプなどを設置。
・油井、ガス井に設置されたセンサーにより採掘の状況をリアルタイムでデジタルデータとして監視、分析することで機械の故障を予測し、採掘の効率を最大化。
・制御、データ管理、先進的なデータ分析により、スムーズな生産、データの効率的な管理と分析を可能にする。
・ガスリフト、往復ロッドリフト、プランジャーリフト、スマートジェットリフト、の自動化と制御システムなどの最先端の汲み上げ技術により、採掘作業を効率化。
・高品質の往復プランジャーポンプによって高圧で液体を効率的に移送。
・地下の貯留層と地表の特性をリアルタイムで評価し、生産量を正確に予測することで、作業を最適化して生産コストを削減。
・専門家によって採掘済みの井戸を安全かつ適切に閉鎖。
・機械的、化学的な方法と排水処理が組み合わされた採掘井戸の清掃により、採掘井戸を効率的に清掃。
石油・天然ガス採掘業界は価格変動に絶えずさらされている不安定な業界です。
原油価格が1バレル=70ドル程度以下ならば、半分の採掘プロジェクトは実施されない可能性が高くなると言われています。
原油価格が下がってくると採掘コストと利益の差がギリギリになり、採算ベースに乗るかどうかが問題になるため、さらなるコストダウンが求められるようになります。
同社のサービスはデジタル化による効率的なオペレーションにより、設備の効率を最大化し、稼働停止時間を最小限に抑えることで運用コストを削減します。
例えば、同社のIoTプラットフォーム“ForeSite”や遠隔操作プラットフォーム“Centro”は油田の稼働状況を監視し、油田作業をリモート支援します。
こうしたデジタル化は人工知能(AI)の活用につながり、生産性の向上、リスクの低減、効率の向上、メンテナンスの予測と最適化を促進することによってコスト削減をもたらします。
同社はデジタル化を優先戦略に位置づけていて、今後も推進していく方針です。
エネルギー業界は様々な要因によって左右される傾向にありますが、中でも大統領選挙の結果はエネルギー業界全体に影響を及ぼす可能性があります。
仮に、次期大統領選でトランプ元大統領が再選された場合、以前の政策を考慮すると化石燃料産業には追い風になるのは明らかです。
これは、石油・ガス掘削プロジェクトの増加を意味し、それに伴い同社のような油田サービス提供企業にとってはビジネスチャンスが増えると期待されます。
特にシェールオイル・ガスに関してトランプ氏は積極的な発言をしており、シェールガスの一大産地“マーセラス・シェール”へのパイプラインの認可を早めることも公約しています。
シェールオイル・ガスには、コストと環境負荷の問題がありますが、同社にはこれらの問題を改善できる先進の採掘・生産技術があります。
同社の事業の22%が北米に依存していて、エネルギー政策や環境対策などのアメリカ政府の方針によって良くも悪くも大きな影響を受けるのは確かです。
しかし、同社は世界中でグローバルに展開している上に、地熱発電、二酸化炭素回収・利用・貯留、廃井処理などのエネルギー移行分野の事業も成長領域として掲げており、適切な事業転換が進めば状況変化のリスクを回避することも可能です。
また、同社は過去に倒産の危機を乗り越えた実績があり、財務体質強化とスリム化を徹底した結果、現在の経営状態は安定しています。
この安定した基盤を軸足にしながら、事業の多様性を失うことなく、多くの業界でも進むデジタル化のフロントランナーとして石油・ガス採掘業界を牽引していけると考えてよいでしょう。
会社ウェブサイト
https://www.weatherford.com
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