アメリカ(米国)成長株:バイコー(Vicor):高性能のスイッチング電源を提供

アメリカ成長株:バイコー(Vicor)の概要

バイコー
Vicor Corp
ティッカーコード:VICR
上場市場:NASDAQ National Market System

私達が普段便利に使っている工業製品のほとんどは電気で動いていますが、送電線やバッテリーから供給される電気はそのままでは使えないので、電源装置によって変換する必要があります。

身近な例としてはスマホや携帯電話を充電する時に使うACアダプターがあります。
昔のものは大きく重いもので使っていると熱くなりましたが、最近は小型化していて熱も出しません。

これは昔のACアダプターがトランスという電線をグルグル巻きにした部品を使っていたためで、今は半導体で電気を変換する小型で高効率の“スイッチング電源”と呼ばれるものに代わっています。

今回紹介するバイコー社は自動車、鉄道、航空から電子機器までのさまざまな電力需要に応える高性能のスイッチング電源を米国、ヨーロッパ、アジア太平洋を中心に世界中に提供しています。
同社が事業展開するのは以下の９つのマーケットです。

・自動車
電気自動車（EV）はエンジン車の約20倍もの電力を必要とする。
特に車両は電源の重量とサイズが性能に直接影響するため小型軽量の電源が求められる。

・鉄道
列車を動かす動力源だけでなく、安全支援装置、情報機器、無線ＬＡＮなどの以前にはなかったような電子機器が搭載されるようになり電力使用量が増大している。

・無人航空機、ドローン
ドローンの輸送、点検、軍事などの分野への活用が進んでいる。
運動性能、飛行時間に大きく影響するため電源のシビアな軽量化が求められる。

・航空、防衛
その性格上、高電力密度、軽量、低ノイズ、高信頼性、製造期間の縮小が求められる。

・衛星、宇宙
高効率、低ノイズ、高電力密度の電力供給が必要となる。
大気のない宇宙空間での宇宙線、放射線への耐性も求められる。

・ロボット
農作物の収穫、物流拠点での移動、配送などにも使われるようになった。
バッテリー駆動であるためサイズや重量の軽減と共に電力変換効率も重要となる。
高性能化で消費電力が増加している。

・大型ディスプレイ、LEDパネル
熱はLEDを劣化させ寿命を短くするためエネルギー損失を抑えて発熱を最低限にすることが求められる。

・半導体製造
半導体を製造する過程で製品チェックに使われる自動試験装置（ATE）は製品の性能とは無関係であるためコストとスペースを最小限に抑えることが求められる。

・人工知能（AI）、データセンター
AIのためのプロセッサが高性能化して電力消費も増えている。
CPUの計算能力を向上させる上で電力供給がネックとなっている。
効率化、サイズ縮小、コストダウン、耐熱性能が求められる。

どの分野でも省電力化と共に、サイズ縮小、軽量化、ノイズ軽減が求められています。
ノイズを抑えたコンパクトなスイッチング電源は高い製造技術を要するため参入障壁が高くなっていますが、同社にはこうしたニーズを満たす高電力密度ソリューションを提供できるだけの技術力があります。

環境保護の観点から二酸化炭素や有害排気ガスを出す内燃機関が敬遠されるようになった今、その代わりとなるクリーンな電気エネルギーを支える電源の需要はますます伸びています。

同社の製品が使われている自動車、ドローン、ロボット、AI、半導体などの分野は未来の社会を構築する上で必要不可欠となるものばかりで、将来性は約束されていると言っても過言ではありません。

世界での電源市場は2027年までの高い成長が予測されていて、幅広い分野に高性能のスイッチング電源を供給している同社には当分の間追い風が吹き続けることになりそうです。

会社ウェブサイト
www.vicorpower.com