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アメリカ成長株:USAレア・アース(USA Rare Earth):米国のレアアースサプライヤー

鉱工業

アメリカ成長株:USAレア・アース(USA Rare Earth)の概要

USAレア・アース
USA Rare Earth Inc
ティッカーコード:USAR
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/USAR/performance

USAレア・アース社は、中国からの輸入に頼らずに米国および同盟国向けのレアアースと磁石のサプライチェーンを確保することを目指しています。
レアアースは主に磁石、触媒、蛍光材料、光ファイバーなどに使われる17種類の元素で、現代のハイテク産業や国家の安全保障に必須な戦略的資源として重要視されています。

レアメタルは、このレアアースを含む幅広い“希少な金属”という意味で、プラチナ、リチウム、チタン、ニッケル、コバルトなどが、リチウムイオン電池、合金、半導体、電子部品、特殊鋼など、構造・機能材として幅広く使われています。

レアアースの場合、レア(希少)という接頭語がついていますが、実際の鉱石中の含有量は必ずしも非常に少ないわけではありません。ただし、採掘・精製・加工が複雑である上、環境の汚染対策や労働者の安全確保が難しいため、コストがかかりすぎて採算ベースに乗せるのが困難という問題があります。

同社は2025年に英国のレアアース金属・合金メーカーであるLess Common Metals(LCM)社を買収しました。
この買収により、鉱山から磁石製造まで一貫した体制を構築し、中国以外で最大規模のレアアース金属・合金供給能力を確保しました。

買収以前から同社は“Mine-to-Magnet”戦略を掲げ、原材料(鉱山)から最終製品(磁石製造)までのサプライチェーンを国内中心で確立することを目標としていました。
しかし、この段階では酸化物を磁石製造に必要な合金へ加工する金属製造の工程は同社自身の能力としては確立されていませんでした。
LCM社の買収により、この金属製造の空白が埋められ、中国国外で完結する垂直統合が実現しました。

買収後の事業は、以下のように展開されています

1)レアアース・レアメタルの鉱山資源事業
テキサス州にある鉱山において、米国随一のレアアースおよびガリウム、ベリリウムなどのレアメタル資源の抽出・分離・精製を進めている。
この鉱山は世界有数のレアアース(ジスプロシウム、イッテルビウム、イットリウムなど)に富む鉱床となっている。

2)金属・合金製造事業
LCM社で30年以上の実績を持つ合金精製・金属溶解技術と磁石材料の金属化技術により、西側で最大規模の供給能力を確保。

中国外で唯一のサマリウム金属(磁石の原材料)生産者であり、現行生産能力は中国外の全世界の需要を賄うのに十分な量となっている。

3)レアアース磁石製造事業
オクラホマ州スティルウォーターに5,000トン規模の磁石製造プラントを建設中で、2026年末には1,200トンの生産能力へ拡張予定。
ブロック、シリンダー、リング、ディスク型など多様なマグネット形状・サイズへの高付加価値対応も強みとなっている。

4)リサイクル・サステナビリティ
近距離輸送で済む国内での事業展開により、輸送のための燃料や時間を削減することで環境負荷の低減を実現。
使用済みマグネットからレアアース元素をリサイクルし、環境負荷の低減や循環型資源戦略にも取り組んでいる。

同社はこれら4事業を連携させて“鉱山から製品・リサイクルまで”を包括的かつ自律的なレアアースサプライチェーンを米・英・欧州・アジアに構築しています。

英国のチェシャーにあるLCM社の金属製造および金属溶解施設は、30年にわたる操業実績を持つ比類のない金属・合金製造能力を提供しています。
現在、この設備の生産能力は1,500トンですが、2026年には2,000トンへの増強を計画しており、今後10年間で最大20,000トンまで拡張する道筋をつけています。
これにより、オクラホマ州スティルウォーターの磁石製造施設および同盟国へ、金属および合金原料を供給することが可能となります。

現在同社は、LCM社買収による金属供給の確保と並行して、米国最大のレアアース磁石製造施設の一つをオクラホマ州スティルウォーターで急速に建設しています。
また、長期的な原料供給を確実にするため、テキサス州の鉱床開発を進めています。
これらの展開により、同社は防衛・産業および同盟国政府部門全体で顧客の需要に応えており、地政学的な不確実性から顧客を隔離し、サプライチェーンの安全性を高める国内供給体制の構築を目指しています。

これほど急いでいる背景には、現在の米国と中国の貿易を巡る対立があります。
またその他の西側諸国も、レアアースを人質にした中国の交渉に手を焼いていて、中国に依存しない安定したサプライチェーンの構築が経済・国家安全保障上の最優先事項となっています。
この対立は激化しており、米国の政権が共和党、民主党のどちらになっても今後も続いていくと考えられています。

ただし、レアアースを中国から国内調達に切り替えると、コストの上昇は避けられず、インフレが加速する恐れもあります。一度、資源調達を他国に依存してしまうと抜け出すのは簡単ではなく、成功したとしても悪影響が避けられないのが現実です。

そうであっても今後、各国は同社のような垂直統合型のサプライチェーンを持つ企業を国家戦略的な重要企業として、資金援助や優遇措置を通じて積極的に育成・保護していくことになるでしょう。

会社ウェブサイト
https://www.usare.com/

 

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