アメリカ成長株:テトラテック(Tetra Tech)の概要
テトラテック
Tetra Tech
ティッカーコード:TTEK
上場市場:NASDAQ
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/TTEK
バイデン政権の目玉政策である気候変動・社会保障関連歳出法案(いわゆるBuild Back Better法案)の成立が不透明です。民主党の急進・左派が押している法案ですが、派生する財政負担とインフレ懸念から民主党の中道・穏健派が反対しているからです。
このため、地球環境・ESG・インフラといったキーワードで買われていた銘柄が、12月に入り市場全体の下落もあって、大幅に下げています。今回紹介するテトラテック社は、まさにこのような銘柄です。
同社は1966年に創業された歴史ある会社です。元々は水利関係のエンジニアリング会社でしたが、その後事業範囲を拡大し現在では、「水利、環境」について幅広い分野で活躍する会社です。売上高は2021年で32億ドル、全世界に450のオフィスを持ち、2万のクライアントと7万のプロジェクトに関わっています。
エンジニアリング会社は、建設会社とコンサルティング会社が融合したような事業を行う会社で、特殊な建設について設計やコンサルティングを行うのみならず、一部実際の建設も行います。コンサルティング会社のように「提案」するだけでなく、具体的な建設・建築にも直接かかわる能力を持っています。
同社の事業内容の内訳は、60%がコンサルティング、35%が設計、実際の工事を行うのは5%で、通常のエンジニアリング会社に比べて「コンサルティングのウェイトが高く」、最先端の技術・提案に関する案件が多くなっています。
地域的には、案件自体は世界全体に展開しています。しかし、2022年の事業予想によれば、売上30%が米国連邦政府関係、15%が米国の州や地方政府関係、20%が米国の民間向け、そして35%が米国以外となっています。米軍を含む米国連邦政府関係が多く、「米国主導の顧客層」を持つ会社と言えます。
同社の関わった事業の具体例としては、「チェサピーク湾の再生」「ウィスコンシン川の再生」等があります。ともに、廃水などによる富栄養化や化学物質による汚染などにより自然が破壊されてきました。下水処理や汚染物質の除去等により、自然環境を回復させるプロジェクトが行われました。
また、先日米軍の撤退で一気に政変があったアフガニスタンですが、テトラ・テック社はこの国のダム(Dahla Dam)の再稼働プロジェクトにも関わっています。元々このダムは1952年に建設されたのですが、その後のソ連との戦争を発端とする内乱状況によりメインテナンスが十分に行われず荒廃しました。2009年以降、米軍等が主導してこのダムを再生させるプロジェクトが行われました。
同社の提供するサービスが「最先端の技術」を必要とされることもあり、M&Aにも非常に積極的です。特に2021年に入り以下のような企業買収を立て続けに行っています。
・2021年2月
Coanda Research and Development:コンピューターによる流体分析、予測モデリング事業
・2021年4月
IBRA-RMAC Automation Systems、Inc:水利関係インフラストラクチャ向けのDX化事業
・2021年5月
KaizenCompany:海外の開発事業
・2021年7月
HoareLea:エンジニアリング設計会社
・2021年10月
Enterprise Automation:制御システム統合、自動化、データ分析、プラットフォームの仮想化、サイバーセキュリティ事業
業績は好調で、2021年の売上高、営業利益、キャッシュフロー、EPS全て、過去最高水準を予想しています。収益性も改善傾向を継続しており、2017年に9.4%だったものが、毎年2%弱改善しており、ついに2022年には11.2%程度まで拡大すると予想しています。
短期的には米国の国内政治の影響で不安定な動きとなるリスクもありますが、ESGは長期的なトレンドです。今後とも安定した成長が期待できると思っています。
会社ウェブサイト
www.tetratech.com
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