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アメリカ成長株:スパイア・セラピューティクス(Spyre Therapeutics):炎症性腸疾患(IBD)の革新的な治療法を目指す

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アメリカ成長株:スパイア・セラピューティクス(Spyre Therapeutics)の概要

スパイア・セラピューティクス
Spyre Therapeutics Inc
ティッカーコード:SYRE
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/SYRE/performance

スパイア・セラピューティクス社は、炎症性腸疾患(IBD)のための次世代抗体治療薬を開発するバイオ医薬品企業です。
IBDは主に潰瘍性大腸炎とクローン病の2つのタイプがあり、小腸や大腸に炎症を引き起こし、腹痛、下痢、体重減少、発熱などの症状を引き起こします。

同社の次世代抗体治療薬は以下の点で従来のものよりも優れています。

・力価(薬の効き目)の向上
薬剤が特定のターゲットに対してどれだけ強力に作用するかを示す指標である“力価”が向上している。
従来の抗体薬に比べて、特定の分子に対して10倍以上の力価を持つものもある。
これにより少量の薬剤でより強い効果を発揮することが可能となり、副作用のリスク低減が期待される。

・半減期の延長
従来の治療薬に比べて、体内で薬剤の濃度が半分になるまでの時間を指す“半減期”が伸びている。
従来の薬剤と比較して数倍の半減期を持つため、投与頻度を減らすことで患者の負担を軽減し、医師の指示に従う割合を高められる。

・投与経路の改善
患者が自宅で行うことも可能で、患者にとって便利で負担の少ない皮下注射(SC)が可能。
従来のIBD治療薬は、通院が必要な静脈内注射(IV)や時間のかかるオンボディインジェクター(OBI)による投与が必要で患者の負担が大きかった。
こうした特徴を持つ次世代抗体治療薬は従来に比べて、より効果的で持続性があり、安全かつ便利な治療オプションとなることが期待されています。

現在同社は以下の3つの治療薬候補の開発を進めています。
1)SPY001(第1相臨床試験が進行中)
α4β7を標的とする抗体で、抗α4β7インテグリンモノクローナル抗体であるEntyvio(ベドリズマブ)の後継薬を目指す。
ベドリズマブと同等の効力を持ちながら半減期が4倍に延長されているため、3ヶ月~6ヶ月に1回の皮下投与で済む可能性がある。

2)SPY002(第1相臨床試験が2024年第4四半期に開始予定)
TL1Aを標的とする抗体で、TL1Aモノクローナル抗体であるTulisokibart(チュリソキバルト)の後継薬を目指す。
チュリソキバルトよりも力価が10倍以上あり、半減期も2倍以上に延長されているため、3ヶ月~6ヶ月に1回の皮下投与で済む可能性がある。

3)SPY003(第1相臨床試験が2025年第1四半期に開始予定)
IL-23を標的とする抗体で、IL-23 p19サブユニットモノクローナル抗体であるSkyrizi(リサンキズマブ)の後継薬を目指す。
リサンキズマブと同等の効力を持ちながら、半減期が3倍以上に延長されているため、3ヶ月~6ヶ月に1回の皮下投与で済む可能性がある。

※α4β7、TL1A、IL-23ははIBDの炎症の発生に関わる因子で、SPY001、SPY003、SPY003は、これらを標的とした抗体。炎症因子と結合して作用を抑えることで炎症を抑制し、IBDの症状を和らげることが期待される。

3つとも後継薬候補ではありますが、単なる既存の治療薬の後追いではありません。
半減期の延長によって、より長い投与間隔で済むようになるだけでなく、特定のターゲットに対して高い選択性を持ち、従来の治療法に比べて優れた効果を示すことが期待されています。

また、これらの開発薬は単剤療法だけでなく、併用療法の開発も進められています。
併用療法は複数の治療法や薬剤を同時に使用する治療アプローチで、特定の病気や症状に対して、より効果的な治療の提供を目的として使われます。
併用療法のメリットには、相乗効果、耐性の回避、副作用の軽減、治療のカスタマイズ化、長期的な効果の持続などがあります。

同社の開発薬においても、併用療法は炎症性腸疾患(IBD)の治療において、より効果的で安全なアプローチとなる可能性があります。
新しい抗体治療薬と、その併用療法によって治療効果の限界を打破し、より高い臨床的寛解率(症状が消失または大幅に軽減された割合)の達成を目指しています。

炎症性腸疾患(IBD)は、世界中で推定700万人が罹患しており、満たされていない医療ニーズを抱えています。この市場は拡大しており、2030年には約200億ドルに達すると予測されています。
現在の治療法(生物学的製剤や免疫抑制剤など)は多くの患者に有効ですが、全ての患者に対して効果的というわけではありません
治療効果が十分に得られなかったり、副作用に悩まされる患者が一定数存在します。

また、IBDは慢性疾患であり、治療を受けていても再発することが多く、再発を防ぐための新しい治療法も求められています。
これらの理由から、同社はIBDを重要なターゲット市場と位置づけています。
革新的な治療法を開発することで、IBD治療におけるより高い有効性と利便性の達成、そして患者のQOL(生活の質の向上)を目指しており、今後の臨床試験の進展に期待したいと思います。

会社ウェブサイト
https://spyre.com/

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