アメリカ成長株: エスピーエス・コマース(SPS Commerce)の概要
エスピーエス・コマース
SPS Commerce, Inc.
ティッカーコード:SPSC
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/SPSC/annual
エスピーエス・コマース社はクラウドベースの小売サプライチェーン管理ソリューションを世界中の11万社以上に提供しているグローバル企業です。
小売サプライチェーンとは、材料調達、製造、物流、販売まで、材料が加工され商品がエンドユーザーに届くまでのプロセスです。
同社のサービスは小売サプライチェーンの各プロセスに関与する業者向けで、具体的には以下のような業者が対象となります。
・製造業者:製品データや在庫情報を効率的に管理し、注文履行を自動化する。
・物流業者:顧客とのコミュニケーションを標準化し、効率的な運送を実現する。
・小売業者:商品の適切なリスト作成や正確な在庫管理を実現する。
これらの業者は同社のソリューションを利用することで取引パートナーとのデータ交換を自動化し、各プロセスを効率化し、データに基づいた意思決定が可能になります。
商品情報のデータ化、在庫管理、注文履行、販売分析の全てのプロセスの管理によって、取引先との連携をスムーズに行い、製品が店頭に並ぶまでの時間を短縮し、販売データ解析によって売上を伸ばすことができます。
クラウドベースであるため、顧客のニーズに応じた規模の調整が容易で、ハード・ソフトウェアの導入コストが削減され、セキュリティが強化されます。
これを可能にするのは、企業間取引で発生する注文書や請求書などを電子データとしてインターネットでやり取りするEDI(電子データ交換)と呼ばれる仕組みです。
従来のEDIは、電子化するプロトコルやフォーマットが決まっていて扱えるデータも限られていましたが、人工知能を導入することでメールや画像・動画のような非構造化データまでが扱えるようになりました。
同社はEDIに人工知能を組み込むことで、大量のデータの解析と解釈を自動化させて効率的に利用できるようにしています。
人工知能によってサプライチェーン管理の改善やビジネスインサイトに活用できるようになり、データの価値が大幅に向上しました。
このビジネスインサイトとは、過去の取引データの分析に基づいて未来のパターン・トレンドを予測し、プロセスの最適化・コスト削減などの効果的な意思決定につなげることを指します。
同社の人工知能を組み込んだEDIが実現することをまとめると、以下のようになります。
・予測分析:過去のEDIデータを利用して未来のパターンやトレンドを予測する能力を持っている。これにより、在庫管理、需要予測、供給チェーン最適化などの意思決定をより効果的に行うことができる。
・効率化と自動化:EDIデータの入力、変換、送受信、利用の各プロセスの効率化と自動化に大きく貢献する。データの解析と解釈を自動化し、エラーの検出と修正を迅速に行うことができる。
これにより、人間の介入が必要な作業が減少し、業務の効率が向上する。
小売サプライチェーンには汚染食品の追跡問題と労働者の人権問題という2つの大きな課題があります。
そこで近年は小売サプライチェーンの管理にトレーサビリティ(製品の追跡)の確保が求められるようになってきています。
EDIでも追跡は可能ですが、データ改ざんのような不正の可能性が排除できません。
この問題の解決のために、ブロックチェーンというIT技術が導入され始めています。
ブロックチェーンとは、取引の記録を複数のコンピューターに分散して保存する技術で、データの改ざんを防ぎ透明性を確保します。
すでにサプライチェーンから人権侵害の可能性がある要素を取り除くためのスマートタグとブロックチェーンを使った追跡システムも導入され始めています。
今後は同社もブロックチェーンを活用して食品のトレーサビリティを強化していく予定です。
これにより食品に何らかの問題が起きた場合、どこまでの範囲の製品を回収するべきかを即座に判断できるようになります。
ブロックチェーンによってデータの改ざんを防ぎ、問題のある食品を正確に特定できるため、迅速かつ的確な回収が可能になります。
製品に対する消費者の目は年々厳しくなってきており、製品トレーサビリティの強化は避けて通れない道となっています。消費者は製品がどこで生産され、どのようなプロセスを経て店頭に並んだのかを知りたがっています。
効率的で信頼性のあるサプライチェーン管理には、EDI、トレーサビリティの確保、ブロックチェーンの構築のための膨大なデータの収集と分析が不可欠です。
これは大規模なサプライチェーンを抱える企業の大きな負担になっており、同社が提供するソリューションは今後益々重要になっていくでしょう。
会社ウェブサイト
www.spscommerce.com
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