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アメリカ成長株: サミット・セラピューティクス(Summit Therapeutics):抗がん剤の開発

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アメリカ成長株: サミット・セラピューティクス(Summit Therapeutics)の開発

サミット・セラピューティクス
Summit Therapeutics Inc
ティッカーコード:SMMT
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/SMMT/performance

サミット・セラピューティクス社は、主にガン治療のための免疫療法や抗体療法の開発に力を入れています。
現在、主力製品としてIvonescimab(イボネシマブ)という抗体医薬品の臨床開発を進めています。
ただし、自社で一から開発したわけではなく、中国のAkeso社が独自に創薬した“二重特異性抗体”と呼ばれる画期的な抗体医薬品をライセンス契約により導入したものです。

抗体は、体内に異物が侵入した際に排除するための免疫応答で作られるもので、標的となる特定の異物にだけ結合する能力があります。
イボネシマブは、ガンの増殖に関わる2つの標的と同時に結合できるように人工的に作られた二重特異性抗体です。
2つの標的とは、ガンが免疫から逃れるための因子と、ガンに栄養を供給する血管を作るための因子となるタンパク質であり、イボネシマブが結合することで免疫による攻撃と、栄養の欠乏によってガン細胞を死滅させます。

中国国内ではすでに中国国家薬品監督管理局(NMPA)によって承認され、実際の医療現場での使用が進んでいます。
同社は現在、肺ガン治療での使用について、米国、カナダ、欧州、日本などにおいて第3相臨床試験を開始しています。

イボネシマブと競合する医薬品として、メルク社のKeytruda(キイトルーダ)がありますが、これはガン細胞が免疫から逃れるのを妨害する作用だけを持つ抗体薬(免疫チェックポイント阻害剤)です。イボネシマブは、この作用に加えてガン細胞への血管が作られることも妨害するので、より大きな効果が期待されます。

実際、直接この2つを比較する臨床実験が行われ、イボネシマブはキイトルーダ単独療法と比較して、肺ガンの進行または死亡リスクを49%低減するなど、治療効果で優位性を示したと発表されています。この結果から、イボネシマブは特に肺ガン治療においてキイトルーダに取って代わる可能性もあります。

同社は将来的にイボネシマブを、結腸・直腸ガン、肝細胞ガン、胆道ガンなどの固形腫瘍の治療にも拡大していく計画です。
メルク社のキイトルーダは長年にわたり免疫チェックポイント阻害剤市場でトップシェアを維持してきましたが、同社のイボネシマブは2つの作用を持つ点で差別化されており、今後は治療領域が重なる分野で直接的な競合関係となると予想されます。

イボネシマブは、中国企業によって開発され、米国企業の同社がライセンス契約や提携を通じて商業化および販売権を持つ形をとっていますが、このようなケースは年々増加しています。
新薬開発は非常に高い不確実性とコストが伴い、特に初期段階での失敗リスクが大きいため、近年、米国を含む世界の多くの製薬企業はリスクを低減するためにこの戦略を積極的に採用しています。

米国側は自社の開発薬候補のラインナップを補強し、既存薬の特許切れリスクを回避できて、中国側は得た資金で研究開発やグローバル展開を加速できるため、双方にとって経済的メリットが大きい相互利益の関係が成立しています。

また、最近のトランプ政権が推し進める大学や研究機関への圧力により、研究者の米国外への流出が進むと考えられます。この政策は、米国の研究開発能力自体を衰退させて、さらに米国企業の新薬開発離れに拍車をかけることになるでしょう。

その穴を埋めるように中国企業が世界の医薬品開発の主導権を急速に握りつつあり、同社のようなケースが今後さらに増えていくことになるのかもしれません。

会社ウェブサイト
https://www.smmttx.com/

 

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