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アメリカ成長株: ソレノ・セラピーティクス(Soleno Therapeutics):稀少疾患の治療薬開発

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アメリカ成長株:ソレノ・セラピーティクス(Soleno Therapeutics)の概要

ソレノ・セラピーティクス
Soleno Therapeutics Inc
ティッカーコード:SLNO
上場市場:NASDAQ

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/SLNO/performance

ソレノ・セラピーティクス社は、主にプラダー・ウィリー症候群(PWS)と呼ばれる希少疾患の治療薬開発に注力しています。

PWSは生まれつきの遺伝子の異常によるもので、主な症状として自己では制御できない強い食欲があり、肥満や糖尿病などの合併症のリスクを伴います。
それ以外にも発達遅滞・知的障害、成長障害・低身長、ホルモン異常、特徴的な顔立ちなどのさまざまな症状が起きます。
また、攻撃性や執着性などの精神や行動の障害を伴うことが多く、家族や介護者への負担が大きいという問題も生じます。
約1万5千人に一人という確率で発生し、長期的な健康問題や本人や家族のQOL(生活の質)の低下につながる深刻な病ですが、未だ十分な治療法が確立されていません。

同社はPWSのための治療薬として、DCCR(ジアゾキシドコリン徐放錠)を開発しています。
ジアゾキシドコリンという化合物を有効成分とした徐放薬で、薬剤が体内でゆっくりと時間をかけて放出されるように設計された製剤です。
徐放薬には、薬の血中濃度が一定に保たれやすく、効果が長時間持続し、副作用のリスクを下げ、服用回数を減らすなどの利点があります。

同社が開発するDCCRは、“KATPチャネル”というカルシウムの細胞内濃度を調節するイオンチャネルを活性化します。

イオンチャネルは細胞の表面に存在し、イオンの流入をコントロールするゲートのような役割を果たすタンパク質です。
活性化によって細胞内のカルシウム濃度が下がると、インスリン分泌抑制、血管拡張、神経の興奮抑制などが起こります。

PWSは主に視床下部の機能障害によって過食や代謝異常が生じる疾患ですが、KATPチャネルは膵臓のβ細胞や中枢神経、脂肪組織などに存在し、細胞の代謝状態やホルモン分泌の調節に重要な役割を果たしています。
KATPチャネルとこの病気の直積的なつながりについては不明であり、DCCRは病気の根本原因に働きかける薬ではありません。

根本治療薬ではないため、全ての症状に効果があるわけではなく、成長ホルモン治療などの他の治療法との併用が引き続き必要となります。
しかし、症状を改善する対症療法薬として、肥満、過食、行動異常などの症状に効果があります。

DCCRは今年の3月にFDA(アメリカ食品医薬品局)によって承認されました。
“VYKAT XR”という商品名に名前を変え、4月から処方箋医薬品として医療現場で利用されています。また、EUおよび英国での市場承認申請も2025年前半に提出を計画しており、今後のグローバルな普及と市場拡大が期待されます。

DCCRは現在PWSの唯一の治療薬であり、患者のQOLを大きく改善するもので、特に制御困難な飢餓感や過剰な行動を軽減することにより、自立した平穏な日常生活を取り戻せる可能性があります。
また、長期的な健康リスクの軽減や、家族や介護者の負担軽減にも寄与することが期待されています。

ただし、プラダー・ウィリー症候群(PWS)の発症メカニズムについては、まだ完全には解明されておらず今後の進展が待たれています。
今後、発症メカニズムの解明が進むことで根本的な治療薬が開発される余地が残されています。
競合他社が少ないという希少疾患分野ならではの有利な点を考えると、PWS治療薬に特化した同社には根本治療薬の開発においても大きなチャンスがあると言えます。

患者や医療関係者のニーズや疾患の特性を深く理解しており、その経験と知見を活かして、遺伝子治療や分子標的治療などの根本的な原因にアプローチする新たな治療法の創出にも挑戦していくことが期待されます。

会社ウェブサイト
https://soleno.life/

 

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