アメリカ成長株:シュニッツァー・スチール(Schnitzer Steel)の概要
シュニッツァー・スチール・インダストリーズ
Schnitzer Steel Industries Inc
ティッカーコード:SCHN
上場市場:NASDAQ
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/SCHN
コロナやウクライナ侵攻により関心が薄くなっていますが、地球環境問題は長期的な投資テーマです。そして今回紹介する、シュニッツァー・スチール・インダストリーズは、オレゴン州ポートランドに本社がある、「世界的な金属のスクラップを扱う会社」で、地球環境関連銘柄と言えます。
ロシアからの移民であるサム・シュニッツァー氏に1906年に設立された金属スクラップ処理の会社です。1993年に上場、2010年にはシュニッツァー一族の株式もかなり売却され、経営者も変更して現在に至っています。
同社の事業は、「廃棄物処理施設で鉄スクラップと屑非鉄金属スクラップを回収し、一部は自社の電炉で製鉄もする」というものです。
全米に50か所の廃棄物処理場を持っており、4億トンの鉄スクラップと6億ポンド(約27万トン)の非鉄金属スクラップを回収しています。これらのスクラップは、米国および海外の電炉メーカーに売却され、一部(58万トン)は自社の電炉で精錬しています。
また、50か所の自動車部品ショップを経営しており、廃車から使える部品は取り出し再販し、残りはスクラップにしています。
廃材から回収された金属の再利用は、そもそも非常にエネルギー効率が良いことが知られています。同社によれば、鉄の場合、鉄鉱石から鉄を作るのに比べて、鉄スクラップから鉄を作る場合、CO2排出量は58%低減されるそうです。他の金属でも同様に効率的で、銅の場合65%削減、アルミニウムはなんと92%も削減されます。(アルミの場合は、精錬に大量の電力が必要のためです)
さらに同社の場合は、使用エネルギーもエミッションに留意したエネルギーを利用しているため、CO2エミッション、GHGエミッション(温室効果ガス)はともに、非常に優れており、業界平均の数%の水準です。廃材利用という業態のみならず、事業で使うエネルギーの中身も優れており、ダブルの点で地球環境に非常にやさしい会社と言えます。
このような「性質」としてのフォローの風は、事業環境全体にも吹いています。世界中で「資源の再利用」への関心が高まっているため、同社の機能(廃材処理)と同社の生産物(金属スクラップ)の両方への需要が高まっています。
このような追い風を受けている同社の成長戦略は以下の4つです
1) スクラップ回収技術の改善 : 廃棄物処理技術の研究・開発
2)鉄スクラップの生産能力の拡充 : 回収ルートの拡充&処理工場の増設、
3)金属スクラップの利用チャネルの拡大
4)廃材回収コスト削減などの効率化の追求
1)は技術的な改善なのですが、2)~4)は全て「量の拡大」で解決しやすくなります。
このため、同社はM&Aを積極的に行っています。例えば、2021年には東南地域(ケンタッキー州とミシシッピ州)に8つの廃棄物処理工場を持つColumbus Recycling社を買収しています。
短期的な業績も非常に好調で、2021年12月~2022年2月の3カ月間(同社は8月決算なので、同社の年度では第2四半期)は、EBITDAおよびEPSは過去最高となりました。鉄スクラップの販売量は過去最大で、さらに鉄スクラップ価格も上昇したためです。
鉄スクラップ価格の急上昇は、「棚ぼた」的な要素もありますが、鉄スクラップを利用するという社会の流れは長期的なものです。地味な会社ですが、長期的な成長が期待できると会社であると思っています。
会社ウェブサイト
www.schnitzersteel.com
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