アメリカ成長株:プロメテウス・バイオサイエンシズ(PROMETHEUS BIOSCIENCES)の概要
プロメテウス・バイオサイエンシズ
PROMETHEUS BIOSCIENCES INC
ティッカーコード:RXDX
上場市場:NASDAQ-GS
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.com/quote/RXDX/financials?p=RXDX
プロメテウス・バイオサイエンシズ社は主に潰瘍性大腸炎やクローン病などの自己免疫疾患の治療薬を開発しています。
これらの自己免疫疾患は下痢・腹痛などの腸のトラブルを引き起こす難病で、治療には免疫抑制剤やステロイドが使われていますが、効果が低く副作用が大きいという問題があり優れた治療薬の登場が待ち望まれています。
同社は自己免疫疾患に関わるタンパク質に対する抗体薬を開発していますが、注目すべきは開発に人工知能を用いる点にあります。
この方法は治療薬の効果に関する膨大な臨床データを人工知能によって解析し、既存の治療薬を別の疾患に利用するもので、一般的に“AI創薬”と呼ばれています。
AI創薬には次のようなメリットがあります。
・既存のデータを活用するため開発コストや時間を短縮できる。
・人間では気が付かないような多様な薬効のパターンや相関関係を見つけられる。
・精度が高い解析ができるため失敗する確率が下がる。
・コンピューターの処理速度を利用して大量のデータを効率よく短時間で解析できる。
同社は人工知能による医薬品開発プラットフォーム“Prometheus360”を使って新しい自己免疫疾患の治療薬を開発しています。
Prometheus360は同社独自のシステムで、医療現場にただちに投入できる可能性のある治療薬候補を短時間で探し当てる同時に、コンパニオン診断薬の候補を見つけることもできます。
コンパニオン診断薬とは、治療薬の選択や効果の有無について投薬前に予測するために使われるもので、治療薬と同等かそれ以上の重要性があります。
コロナのパンデミックでは、レムデシビルが治療薬として使われましたが、評価が割れたことでも有名です。
レムデシビルは本来エボラ出血熱のために使用される予定でしたが、新型コロナウイルスにも一定の効果があるとしてFDA(米国食品医薬品)によって世界初のコロナ治療薬として承認されています。しかし、特効薬というほどの効果はなく懐疑的な声も聞かれましたが、多くの患者に投与されて有用な臨床データが得られ、その後の人工知能を使った開発に活かされることになります。
現在も決定的なコロナ治療薬というものは存在せず、人工知能を用いた開発が続けられています。
新規治療薬の開発は本当に険しい道のりで、研究から臨床試験をパスして承認まで至る薬は数千分の一と言われています。
しかも開発には莫大な費用がかかるため、失敗したら大きな損失になるばかりか、成功したとしても開発費を回収するのも困難な場合もあり、製薬会社に新規開発を躊躇させる理由になっています。
それに対しAI創薬は効果や副作用に問題があり評価が低かった治療薬を再評価させたり、もしかすると開発を断念したものを復活させるかもしれず、開発者にはとても魅力的です。
このように、人工知能は手っ取り早い薬剤開発において有用であることに間違いありませんが、行き過ぎると全く新しい治療薬を一から開発する企業が減ってしまうのではないかという心配の声もあります。
しかし新規の開発の場合にもコストや開発時間を削減する恩恵があり、新しい挑戦に取り組む企業の後押しにもなるため、人工知能が医薬品の発展に大きな貢献をすることに変わりはないでしょう。
会社ウェブサイト
https://www.prometheusbiosciences.com
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