アメリカ成長株: アビディティ・バイオサイエンシーズ(Avidity Biosciences)の概要
アビディティ・バイオサイエンシーズ
Avidity Biosciences Inc
ティッカーコード:RNA
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/RNA/performance
アビディティ・バイオサイエンシーズ社は、筋ジストロフィー(DMD)のような遺伝性希少疾患のためのRNA治療薬を開発しています。
体内では、タンパク質の設計図となるDNAの遺伝子情報がRNAにコピーされ、これをもとにタンパク質が作られます。
遺伝性の疾患は、患者のDNAが何らかの原因で変異することで異常なタンパク質が作られるために起こります。
RNAはタンパク質の情報が書かれた鎖状の分子で、これに対応するRNA分子(RNA治療薬)を人工的に作って体内に入れると、貼り合わせるようにくっついて二本鎖を形成し、異常なタンパク質の合成を止めることができます。
病気の原因となるタンパク質をターゲットとしたRNA分子を患者に投与し、症状の抑制や改善を目指すのがRNA治療薬です。
治療に使われる人工のRNAは、ターゲットのタンパク質の設計図であるRNAにくっついて異常なタンパク質が作られないように作用します。
従来の低分子治療薬の多くは、あらゆるところに効いてしまうので効率が悪く副作用が出やすいという欠点がありました。
RNA治療薬は特定のタンパク質の設計図になるRNAと結合するので、標的以外に害を及ぼさない上に効果的な治療が可能になります。
さらに、同社のRNA治療薬はRNA分子に抗体を結合させていて、必要な場所で集中的に効果を発揮するように設計されています。
RNAと抗体を結合させたタイプのRNA治療薬は、抗体オリゴヌクレオチド複合体(AOC)と呼ばれていて、従来のRNA治療薬の限界を克服し、より効果的な治療を実現するための新しいアプローチとして注目されています。
現在同社が開発中の主なAOCは3つあり、臨床試験が進んでいる順に並べると以下のとおりになります。
1.delpacibart etedesiranデルパシバルト エテデシラン(del-desiran)1
・対象疾患は筋強直性ジストロフィー1型(DM1)。
・DM1に関連する有毒なRNAのレベルを低下させる。
・第3相試験が進行中。
・FDAから画期的治療薬、希少疾病用医薬品、優先審査の指定を受けている。
・現在DM1に対する承認された治療法はなく、大きな期待を集めている。
2.delpacibart braxlosiranデルパシバルト ブラクロシラン(del-brax)
・対象疾患は顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)。
・FSHDの根本原因であるRNAの異常な増加を抑える。
・第2相臨床試験が終了し、第3相の準備中。
・FDAから希少疾病用医薬品、優先審査の指定を受けている。
・FSHDの進行を遅らせたり、阻止したりすることを目的とする。
3.delpacibart zotadirsenデルパシバルト ゾタディルセン(del-zota)
・対象疾患はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)。
・患者に欠けているジストロフィンタンパク質の合成を可能にするために、ジストロフィン遺伝子を働かなくしているタンパク質の合成を阻害する。
・第2相臨床試験が進行中。
・FDAから希少疾病用医薬品、優先審査の指定を受けている。
・手の機能や筋力を含む様々な評価項目において疾患の進行を止め、改善させる可能性がある。
対象となる疾患は、どれも筋肉が失われていくことで発症するものです。
こうした筋肉の萎縮がかかわる病気は深刻であり、日常生活に支障をきたしていたり、命の危機に瀕している多くの患者を救うという意味で大きな前進となります。
同社の治療薬は、RNA治療薬が効率よく目的の体の部位に届くように設計するための“AOCプラットフォーム”を基盤としています。現在同社はこのプラットフォームにより、筋肉以外にも様々な組織や細胞を標的にするAOCも開発中です。
RNAと抗体の組み合わせのバリエーションで、今まで治療が困難であった疾患に希望の光があたる可能性も秘めており、今後の開発にも期待したいと思います。
会社ウェブサイト
https://www.aviditybiosciences.com/
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