アメリカ成長株: プロフラック(ProFrac)の概要
プロフラック・ホールディング
ProFrac Holding Corp
ティッカーコード:PFHC
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/PFHC/annual
プロフラック・ホールディング社は米国でシェールガス・オイルを掘削するための水圧破砕(フラッキング)の機器およびサービスを提供しています。
水圧破砕は地中のシェール層と呼ばれる岩盤の中に水・砂・化学物質を注入し破砕して天然ガスや石油を回収する方法です。
これにより中東のような大規模な油田が存在しないと見られていた地域でも天然ガスや石油の産出ができるようになり“シェール革命”とまで言われましたが、水圧破砕は土壌・大気汚染、地下水の枯渇、温室効果ガスの排出などの環境問題を引き起こし、各地で反対運動が起きる事態にもなりました。
シェールガス・オイルは地下に分散しているものを広範囲の岩盤を破壊してかき集めるため、どうしても環境負荷が高くなってしまうのです。
同社は水圧破砕による掘削に伴って排出される温室効果ガスを抑え、環境負荷を極力下げることを目指しています。
水圧破砕とそれに関わる運搬には大量のエネルギーが必要ですが、同社は掘削機や車両の動力源をディーゼルエンジンから天然ガスとディーゼルの両方を使う“デュアルフューエルエンジン”に切り替えています。
これによりディーゼル燃料の使用を最大25%までに減らすることが可能で、CO2排出を大幅に削減します。
また、全ての掘削作業を電気で行う“エレクトリックフラック”も採用し、電源次第ではCO2排出をゼロにする“ゼロエミッション”も可能になります。
環境破壊を伴う水圧破砕では環境保護も大切ですが、CO2排出削減が同時に掘削コストを下げる効果があるという点も見逃せません。
排出されるCO2が減るのは効率化の結果の反映である場合が多く、直接コストの削減につながっているためです。
真上に設置した垂直井から効率よく採取できる油田に比べ、広範囲を破砕して集めた上に精製する必要があり、掘削コストが高いシェールガス・オイルにとってコスト削減は大きな助けとなります。
天然ガスの利用でCO2排出を抑えている同社ですが、化石燃料依存であることに変わりはなく、その点を批判する声も強くあるのも事実です。
理想を言えば今すぐにでも全てを再生可能エネルギーに転換すべきかもしれませんがなかなか難しいという現実もあり、環境保護に積極的な欧州でも天然ガスに頼っている状況です。
再生可能エネルギーを重視し、シェールガスには冷たかったバイデン政権もロシアのウクライナ侵攻が招く最近の異常な物価高を抑える目的もあって「今は戦時下だから特別」という建前でシェールガスの増産を認めている程です。
米国のシェール革命が始まってから相当の年月が経ち、掘削機も古くなり交換の時期を迎えていて、同社にとってはシェールガス・オイルの新規開発の活性化やCO2排出削減への圧力と共に強い追い風となっています。
妥協策ではありますが、当面の間は天然ガスの利用でCO2排出を抑えつつ再生可能エネルギーを安定的に供給できるシステムが構築されるのを待ち、徐々にゼロエミッションを目指すというのが現実的な選択なのかもしれません。
会社ウェブサイト
www.profrac.com
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