以前、米国小型成長株に投資をしている「国内投資信託」のリターンを比較していました。
しかしながら、SBIアセットのファンドの運用期間が短く、比較期間が非常に短期に偏ったため、「いったいどのファンドが良いのか悪いのか、わけが分からない」状態に陥りました。
2024年11月になりやっとSBIアセットのファンドも5年間のトラックレコードができたたため、今後この5年間に統一して、さらに半年に一度程度の頻度で比較しようと思います。(短期的には、相場の波の影響が大きく、優劣が見えにくいため)
1.米国小型成長株関連投資信託のリターン
SBI証券の投資信託の銘柄検索で「米国、小型、成長」の条件では、以下の6つの投資信託が掲示されます。
1)One-ジャナス米国中小型成長株ファンド
2)SBI米国小型成長株ファンド
3)ブラックロック米国小型成長株オープンAコース(為替ヘッジなし)
4)ブラックロック米国小型成長株オープンBコース(為替ヘッジなし)
5)三井住友DS 米国小型ハイクオリティファンド
6)明治安田米国中小型成長株ファンド
4)は為替ヘッジ付きなので、株式の投資リターン以外の影響を受けます。また、1)と6)は「中小型」で、投資対象が若干異なります。
純粋な米国小型成長株のファンドとなると、2)3)5)、参考的に1)と6)、となります。
比較対象としては、ラッセル2000グロースインデックス、売れ筋の「オルカン」と「SP500」のインデックスファンドも掲載しました。
2024年11月末時点
投資信託の名前 | 過去5年間年率 | 投資対象等 |
SBI米国小型成長 | 19.34% | 米国小型成長株 |
ブラックロック、ヘッジ無 | 14.90% | 米国小型成長株 |
三井住友米国小型 | 15.82% | 米国小型成長株 |
ジャナス米国中小型 | 13.38% | 米国中小型成長株 |
明治安田米国中小型 | 15.55% | 米国中小型成長株 |
ラッセル2000グロース | 15.87% | 米国小型成長株のインデックス |
eMAXIS オルカン | 18.54% | 全世界株インデックスファンド |
eMAXIS SP500 | 22.79% | SP500 インデックスファンド |
2.インデックスファンドは「絶対正義」か?
巷では、「一般的な投資家は、所詮投資には勝てない。しかし、負けない方法がある。それは、低コストで市場全体を買うインデックスファンド、に投資をすること」という考えが流行しています。
この考えは、以下の2つの事が背景にあります。
・「効率的市場仮説」=株価は現在利用できる材料を全て反映している。だから、自分が市場を出し抜いて追加的なリターン(一般的にアルファと呼ばれる)を獲得することができない。
・その証拠に、インデックスファンドではないアクティブファンドの多くは、インデックスのリターンに勝てていない。
だから、どのファンドが良いか悪いかわからない、素人投資家は「低コストのインデックスファンドを買えば、少なくとも負けない」という論理です。
しかし一方で、こちらも巷ではやっている「FIRE本」を見ると違った見方があります。
FIREとは「経済的独立による早期リタイア」のことです。
多くのFIREの本には「アナリスト等のカバーしていない小型成長株には、投資リターンを稼げる機会が多くある」と書かれています。このため、「インデックスファンドへの定期的な積み立て投資」+「小型成長株の個別銘柄投資」を勧めているものが多くあります。
さらに、ウォーレン・バフェットという人がいることも知っています。長期的にはアルファを出すファンド・マネジャーが存在することを認めています。
まとめると
・オルカンやSP500に投資するのは「負けないため」
・(負けないのではなくて)勝ちたければ、小型成長株投資
・多くのアクティブファンドはインデックスに負けるが、勝利しているファンドも確実に存在する
ということです。
3.「米国株は割高」論をどのように考えれば良いのか?
2024年12月9日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事に「超割高な米国株、長期的には下落の運命、だが来年は?」がありました。
過去の歴史と比べると、現在のSP500 の水準はバリュエーションで見て非常に割高であり、ゴールドマンサックス(GS)やバンクオブアメリカ(BOA)の今後10年間のリターン予想は非常に低くなっています。(GSは年率3%予想、BOAは0%~1%、とのことです)
そして、現在のSP500 の割高の「原因」は一部の大手IT銘柄が「超割高」であるからで、これらの銘柄以外は、「たいして割高ではない」との分析です。
この「割高な米国株」に対する対処方法は
・SP500 から大手IT銘柄を除いて投資する = このような都合のよいインデックスファンドがあるのか?はわかりません
・SP500ではなく、より広い地域分散ができるオルカンに投資する = しかし、オルカンの65.9%(2024年11月末)は、「アメリカ」で、SP500 の割高の影響をそのまま受けます。
・所詮素人は何を買ってよいかわからないから、「割高だろうが、割安だろうが」継続的にSP500かオルカンを買って、「時間分散」で問題の解決を図る
といったところです。
私は、米国が世界をリードする流れは当面止まらず、米国内で割安かつ成長余力のある「米国小型成長株」こそ、「割高な大型成長株相場へのヘッジ」になるのでは?と考えています。
WSJの記事は、「短期的には割高な銘柄が、さらに割高になる強い相場となる可能性もあるから、”来年はどうなるかわからないけど?”」という内容になっています。
しかし長期的にはSP500 は行き過ぎです。これはGSやBOAを含め多くの市場参加者が認めていることです。
今後数年のスパンでみれば、米国小型成長株に分があると、思っているのですが。
(そんなことをこの3年間言っていますが、いっこうに小型成長株は強くなりません。しかし、米国小型成長株に特化しているファンドでも、SBIのファンドは過去5年でオルカンを上回っています)
また半年ごとなどで、定点観測してみたいと思っています。
<過去のリターン比較>
米国小型成長株の投資信託:リターン比較
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