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アメリカ成長株:オースター(Ouster Inc):センサーメーカー

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アメリカ成長株:オースター(Ouster Inc)の概要

オースター
Ouster Inc
ティッカーコード:OUST
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/OUST/performance

オースター社は、デジタルライダーセンサーとソフトウェアソリューションを提供する世界的なリーディングカンパニーです。
世界50カ国以上の約600社に製品を出荷しており、自動車業界、産業ロボット、スマートインフラ、ドローンなど、さまざまな分野にグローバルな顧客基盤を持っています。
米国、欧州、アジア太平洋、中東など各地域にオフィスやネットワークを展開し、現地パートナーシップや製品サポートを強化しています。

主な製品は、ライダー(LiDAR)センサーと呼ばれるデジタル測定機器で、高解像度のデジタルライダーセンサー、知覚ソフトウェア、ソリューションを提供しています。

ライダーセンサーとは、対象物までの距離を測定し、周囲の3次元環境を高精度で把握するためのセンサーです。ライダー(LiDAR)はLight Detection and Ranging(光検出と距離測定)の略称で、レーザー光を使って環境の詳細な3Dマップを作成します。
レーザー光を周囲に照射し、反射して戻ってくる時間を計測することで距離を算出し、この情報をもとに周囲の構造や対象物の位置、大きさ、形状を詳細に把握できます。
このセンサーは、完全自動運転、スマートインフラ、自律型ドローン・ロボットなど、高度な自律性と安全性を実現する近未来の技術には欠かせないものです。

同社は従来、センサー専門のモノ作り企業でしたが、AIを活用したソフトウェアソリューションの提供を本格化させています。
高性能なライダーセンサーと高度なAI知覚ソフトウェアを統合して提供することで、単なるセンサーメーカーからフィジカルAI(物理的AI)企業への転換を図っています。
フィジカルAIは、ライダーセンサーのような環境認識センサーとソフトウェアソリューションにより、機械が周囲の状況を認識・理解して自律的に動けるようにする技術です。

この戦略に基づいて現在は、以下のような三つの主要分野で事業を展開しています。

1.ハードウェア製品(デジタルライダーセンサー)
・OSDome、OS0、OS1、OS2シリーズなどの高性能のデジタルライダーセンサー。
・高性能、高信頼性、小型、低コストのCMOSアーキテクチャ半導体を採用。
・128チャンネルのスキャン能力と多様な視野・距離性能を持つセンサー群。
・産業用、自動車用、インフラ用などに適した堅牢な設計と多用途対応。
・次世代ソリッドステート型DFシリーズ(センサーを動かさずに瞬時に広範囲の3次元データの取得を可能にする固定型センサー)を開発中。
・自社設計のL3カスタムSoC(高性能のセンサーを実現するために、膨大なトランジスタと高度な信号処理能力を集積した専用チップ)を搭載。

2.ソフトウェアソリューション(AI知覚ソフトウェア)
・Ouster Gemini、BlueCityなどの、AIを活用したクラウドベースの分析と管理ツール。
・スマートシティや交通管理のための包括的ソリューションや、情報通信技術によって人、道路、車両を情報ネットワークで結ぶインテリジェント交通システム。
・セキュリティ、群衆監視、物流など多用途のソフトウェアサービス。
・リアルタイムで3次元データを処理し、人物・物体の検知、分類、追跡を行うAIプラットフォーム。
・ファームウェアアップデートによる性能向上とクラウド連携解析。

3.主要なターゲット市場(産業分野)
・ADAS(先進運転支援システム)や自動運転車のための自動車向けライダーセンサー。
・倉庫自動化、農業、鉱業、建設向けの自律移動とロボティクス。
・インテリジェント交通システム、監視、セキュリティ、群衆分析などのスマートインフラ。
・その他、安全保障、防犯、都市インフラの監視・管理など。

同社の2030年における推定獲得可能市場規模は、自動車(200億ドル)、スマートインフラ(190億ドル)、産業(180億ドル)、ロボティクス・ドローン(140億ドル)となっており、各分野にほどよく分散されているのが分かります。

この市場分散は、複数の収入源を持つ投資ポートフォリオのような役割を果たしています。
ある市場で採用が遅れたり、需要が落ち込んだりしても、他の市場での安定した成長が全体を支え、持続的な収益増加と財務目標の達成に向けた確実な道筋を提供します。

現在は、自動運転に使われるライダーセンサーが好調で、自動車業界を含む産業と物流の顧客が大きな割合を占めています。
自動運転と言えば、米国のEV(電気自動車)メーカーであるテスラ社が思い浮かびますが、テスラはライダーセンサーを一切使用せず、カメラ映像のAIによる解析に頼っています。
ライダーセンサーは高価な装置であるため、省くことによるコストダウンには有効ですが、カメラだけでは悪天候時や強い逆光時に性能が著しく低下する問題が生じます。

テスラ社はコスタダウンしつつブランド力で高価格を維持し、利益率を高めるという、うまい商売をしているとも言えます。
テスラのような例外を除き、業界全体の流れはライダーセンサーを欠かせないものとして採用する方向にあります。
特にレベル3以上の高度な自動運転や、安全性が極めて重視されるロボタクシー(レベル4)の分野では、ライダーセンサーの採用が現在のところ主流です。

今後同社は「当面ソフトウェア売上の拡大に経営資源を集中し、高成長が見込める自動車やスマートインフラの商用本格化を加速する」としています。
ライダーセンサーはスマートインフラにおいても、都市交通の最適化、信号制御、混雑や群衆の解析、駐車場管理、インフラ設備の点検、保守、防犯、監視など幅広い用途に重要な役割を果たしています。

道路、トンネル、橋の3次元マッピングによる点検効率化、送電線の設備点検、街中の混雑状況把握、公共交通の安全向上など、社会の持続可能性と利便性を高める技術基盤となっています。
同社はライダーセンサーを基盤として、先進的なインフラと自律機械が周囲を把握し、安全性、効率性、持続可能性を向上できる世界の実現を目指しています。

同社の製品・ソリューションは社会に“疲れ知らずで正確無比な視覚を持った脳”を提供するようなものです。
ライダーセンサーが“眼”の役割を果たし、フィジカルAIソフトウェアが視覚情報を処理する“脳”として機能することで、自動車や都市インフラが自ら周囲を理解し、安全かつ効率的に行動できるようになるのです。
同社はこのような理想的な未来の実現に大きく貢献しながら、急速に進化する技術と市場のニーズに応える形で成長を続けていくことになるでしょう。

会社ウェブサイト
https://ouster.com/

 

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