アメリカ成長株:ナテラ(Natera)のアップデート
ナテラ
Natera Inc
ティッカーコード:NTRA
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/NTRA/annual
以前に一度紹介したナテラ社は血液中に含まれるDNAの検査によって、体内の変化や健康リスクを早期に検出できる革新的な遺伝子検査サービスを開発・提供しています。
血液中には細胞の破壊によって流出したcfDNA(細胞外DNA)が含まれていて、これを詳しく調べることで様々な情報が得られます。
大型の装置が必要で時間とコストがかかるCT、レントゲン、MRI検査などと比べると圧倒的に手軽で繰り返し測定できる点で大きなメリットがあります。
前回から3年以上が経過しましたが、同社はその後は順調に成長を続け、cfDNA検査の世界的リーダーになっています。
同社のcfDNA検査には、ガン治療後の再発チェック、移植後の臓器の監視、出生前診断の3つがあります。
3年前は、妊婦や妊娠前の出生前診断が主力製品でしたが、現在はガンの再発チェック部門が伸びていて、この分野をリードするようになっています。
ブドウ膜黒色腫(眼にできるガン)に使われるテベンタフスプという治療薬の効果を評価する検査を最近追加するなど積極的に開発を進めています。
cfDNA検査が登場した当初は、微量しか含まれないサンプルのDNA配列解析が困難で、スピードも遅かったため得られる情報が少なく信頼性が今よりも劣るものでした。
cfDNA検査には信頼性が特に大切ですが、ここ数年で実績を上げてきた結果、評価されるようになり検査数が大幅に増加しました。
次世代シーケンサー(DNA配列解析装置)やマルチプルPCR(一度に大量の遺伝子変異を見つける技術)の進化は日進月歩で、血液検査で分かることが増えて信頼性の向上にも貢献しています。
微量のcfDNAの微妙な変化をとらえるためにはDNA配列解析の技術に加えて、データベースとその情報分析も必要です。
この面を強化するために同社はPanorama AIという人工知能技術を最近になって導入しました。
同社が持つ200万件以上のcfDNA検査情報のデータベースを人工知能で解析することにより、的中率が24%から53%へと改善され、遺伝子変異の見逃しも50%減少しました。
このデータベースは、同社の製品が広く使われてきたことで得られた蓄積に加えて、大学の研究機関との提携などによってさらに充実してきています。
検査数が増えれば増えるほどデータベースが充実し、ますます信頼度を増して検査依頼も増えていくという相乗効果で成長を続けています。
また、同社は新たに早期ガン検出(ECD)部門への進出を昨年に発表していますが、この市場は規模が大きく売上を大幅に伸ばすチャンスです。
ガンの早期発見は、効果的な治療、生存率の上昇、入院期間の短縮につながり、医療費や社会保障費の削減にもなるため国からの支援も期待できます。
将来は血液一滴からあらゆるガンやその他の病気を発見できるようになり、人間ドックに入って時間とコストをかけて全身をくまなく検査する必要がなくなるかもしれません。
同社は新しい解析技術を積極的に採用しながら、技術力や信頼性を背景に確実にシェアを伸ばしており、マーケットリーダーの地位を活かして実績を積むことで、この目標に向かって確実に近づきつつあります。
会社ウェブサイト
www.natera.com
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