アメリカ成長株:ナテラ(Natera Inc)の概要
ナテラ
Natera Inc
ティッカーコード:NTRA
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/NTRA
DNAは遺伝情報を記録する情報分子であり細胞の核内に収納されています。血液中にも細胞の死滅によって生じたDNAの断片が混ざっていて、これを分析すると様々な情報を得ることができます。
ナテラ社はこのような血液中に含まれる微量のDNA断片を検出・分析する技術を使って以下のようなサービスを提供しています。
①治療後の残存ガン細胞をチェック
・腫瘍マーカー(ガン細胞から血液中に漏れ出るDNA断片)を検査して抗ガン剤治療・摘出手術後の再発チェックおよびその後の治療方針の決定をサポート
②臓器移植後のチェック
・血液中のドナー由来のDNA断片を検出することで臓器移植後の拒絶反応を評価し、免疫抑制剤の使用量をコントロール
③出産に関わるリスク回避のための情報提供
・妊娠中の母親の血液検査で胎児のダウン症候群などの主要な遺伝病をチェック(出生前診断)
・新生児が遺伝性疾患にかかるリスクを妊娠前の診断で評価(妊娠前遺伝子診断)
・体外受精妊娠において検出可能な遺伝病を持たない健康な受精卵を選別(着床前診断)
・受胎組織、両親の血液を検査して流産の原因を遺伝的要因から探る
同社は2013年に“Panorama”という出生前診断キットの販売を開始しましたが、これは妊婦の血液を検査するだけで胎児の遺伝病をチェックできるという画期的なものでした。
それまでの出生前診断は絨毛検査や羊水検査など流産の危険を伴うものでしたが、これを一気に手軽なものにしました。
しかしアメリカではトランプ大統領とその支持者のような保守派が、宗教上の理由から、「全ての人工中絶、もしくは強姦、近親相姦、母親の生命を守る目的以外の中絶に反対」しています。このため、中絶を前提としているに等しい出生前診断なんてとんでもないという風潮がありそうなイメージがあります。
しかし一方では、出生前診断を義務化している州があったり、診断の結果を妊婦に伝えなかった結果障害児が生まれた場合には医師に損害賠償責任が生じたりするなど、意外にも出生前診断はアメリカ社会に広く浸透しています。
出生前診断の技術が進歩する一方、それまでにはなかった倫理的な問題が生じてくることになりました。
例えば妊娠する前の女性が障害児を産むリスクまで評価できてしまう“妊娠前診断”です。これは妊娠・出産前のカップルに潜んでいるリスクまでがあからさまにされてしまうため、結婚差別につながるようなことにもなりかねません。このような事態は科学の発展が人々に幸福をもたらすとは限らない典型例と言ってもいいでしょう。
出生前診断のような技術がさらに進歩していくと、より大きくて複雑な問題を引き起こすことになるかもしれませんが、知らなくてもいい情報であっても“知れるものなら知りたい”というのが人情で、需要がある限り開発の手が緩められることはないでしょう。
会社ウェブサイト
www.natera.com
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