アメリカ成長株:MGPイングリディエンツ(MGP Ingredients)の概要
MGPイングリディエンツ
MGP Ingredients Inc
ティッカーコード:MGPI
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/MGPI
MGPイングリディエンツ社の事業には、アルコール製造を中心に食品成分、蒸留穀物残渣の3つのセグメントがあります。内容は以下の通りです。
1)アルコール製造
・飲料(バーボン、ウィスキー、ジン)
・食品添加(香料、色素)
・衛生・化粧(香水、マウスウォッシュ、シャンプー)
・医薬品用(薬の成分、製造工程)
・燃料(バイオエタノール燃料)
2)食品成分
・タンパク質、でんぷん(パンや菓子の生地、ダイエット食品、健康食品)
3)蒸留穀物残渣
・家畜飼料
・バイオディーゼル燃料
すべての製品は小麦やトウモロコシなどの穀物を原料としています。
蒸留穀物残渣は、穀物を糖化して発酵させてアルコールを蒸留した後に残る副産物で糖質以外の栄養素が多く残されています。
日本ではアルコール飲料の消費量がここ20年右肩下がりとなっていますが、逆に米国の場合にはコロナ禍にもかかわらず右肩上がりの伸びが続いています。
米国ではビールの消費量が減少している一方、ワインや蒸留酒が増え続けていることもあり、こういった流れ乗じて同社も業績を伸ばしています。
しかし、アルコール飲料は不況時に多く飲まれる傾向にあり、酒を大量消費する社会はあまり健全ではないというのも事実で、増え続けるアルコール中毒や健康被害が問題視されるようになってきています。
WHO(世界保健機関)も飲酒による被害が深刻であるとして広告の制限や酒税の引き上げなどの提言をしています。このまま行くといずれはタバコのようにアルコールもやり玉に挙がり、飲酒に対する厳しい規制が入る可能性があります。
実際、米国のアルコール飲料関連死は増加していて、これを問題視する声が大きくなってくるとアルコール飲料業界も安泰ではないかもしれません。
アルコール飲料の一本足打法では行く先が案じられますが、同社はただの酒造メーカーではなく、食品、医療、燃料などのさまざまな分野にアルコールを供給しています。また蒸留穀物残渣も有効に利用していて、家畜用の飼料やバイオディーゼル燃料を製造しています。
蒸留穀物残渣はそのままでもタンパク質や脂肪を豊富に含んでいますが、同社が製造する独自のブレンドの配合飼料を食べさせた牛の肉は餌の量あたりの収量が多くなるそうです。
こうしたアルコール飲料以外の事業が下支えとなっていますが、そもそも同社の創業は酒造ではなく工業用アルコールの製造から始まっていて足腰はしっかりと言えます。
アルコールの製造過程で出る廃棄物の利用やバイオエタノール・バイオディーゼル燃料の供給は環境保護の点で大きな役割を果たすものです。
同社は原料を最大限に活用し廃棄物を極力出さず水や空気を汚さないというポリシーを持っていますが、これは最近言われるようになったSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・企業統治)などの指針にも沿うものです。
こうした取り組みは企業イメージを向上させて資金調達や人材確保などで有利になることが期待され、今後逆風に晒されるかもしれないアルコール飲料業界では確実に後押しとなっていくでしょう。
会社ウェブサイト
www.mgpingredients.com
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