アメリカ成長株: マグナイト(Magnite)の概要
マグナイト
Magnite Inc
ティッカーコード:MGNI
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/MGNI
最近インターネットでホームページを閲覧していると画面下にクッキーの利用許可を求めるダイアログが出るのを目にすることがあります。クッキーは、そのホームページを訪問した情報を記録しておくもので、視聴者の趣味や嗜好に合わせた“ターゲティング広告”の表示を可能にするものです。
このシステム自体は、関心がある物の情報が得られるという意味で消費者にもメリットはありますが、過去に検索した商品の広告が別のホームページにも出ていたりすると誰かに監視されているような気持ちの悪さを感じるのも確かです。
閲覧履歴が第三者に把握される状態はプライバシー保護の面で問題があることは否定しようがなく、近年のプライバシー保護の流れからクッキーは排除される方向に向かっています。
プライバシーに特に厳しいEUではGDPR(一般データ保護規則)によって規制されていて、クッキーの利用には視聴者の同意が必要とされていますが、ほとんどの訪問者が拒否する傾向にあり、事実上クッキーが使えないようになってきています。
そんな中、今年の3月にインターネット検索大手のグーグルから「クッキーを将来的に廃止する」という発表があり、インターネット広告業界に衝撃が走りました。今回紹介するマグナイト社もこの騒動に巻き込まれたインターネット広告企業の一つで、一時的に株価も下落しましたが現在は回復基調にあります。
マグナイト社は、パソコン、スマホなどの情報端末とCTV(インターネットに接続したテレビ)の視聴者に向けた広告を表示させるシステムを運用しています。
新聞やテレビの広告は事前に取引が成立していますが、インターネット上のコンテンツに表示されるデジタル広告は視聴者に合わせた広告が自動的に選択されて表示されるようになっていて、広告が表示された時間や回数に応じて事後に料金が発生する成功報酬型のシステムです。
自社製品に関心のある視聴者だけに見せられるため広告主は無駄な出費を抑えることができます。従来のテレビ(地上波・衛星放送)のCMは全ての視聴者に同じ広告を見せるものでしたが、インターネット広告と同様にCTVでも視聴者に合わせたCMを流すことが可能です。
マグナイト社は、こうしたデジタル広告プラットフォームを提供する事業を北米、ヨーロッパ、中東、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海地域、アジア太平洋に展開するグローバル企業で、日本の楽天マーケティングプラットフォームも同社のシステムを導入しています。
クッキーが廃止されるという噂でインターネット広告の存在価値がなくなるかのような誤解が広がりましたが、売りたい企業と買いたい消費者が存在する限りデジタル広告のような効率的な宣伝方法のニーズは消滅しません。
広告業者も手をこまねいているわけではなく次の手を考えていて、その一つがクッキーのような視聴者の閲覧履歴を含む個人情報を共同で管理する方式です。
従来のクッキーでは第三者に閲覧履歴を知られる危険性がありましたが、この情報を広告業界が共同で設立した“Prebid.org”という中立機関が管理するというものです。グーグルもクッキーに変わる新しい仕組みを導入する予定ですが、こちらはグーグルが独占的にユーザーの閲覧履歴を管理する方式で、独占禁止法に触れるのではないかという指摘もあります。
今後インターネット広告のプライバシー保護の対策がどうなっていくかは流動的ですが、費用対効果を求める広告主の要望がなくなることはなく、どのような形であっても広告主と消費者の双方に有益となる広告の場を提供する同社の事業の重要性が揺らぐことはありません。
会社ウェブサイト
https://www.magnite.com/
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