アメリカ成長株:ライブ・オーク・バンク(Live Oak)の概要
ライブ・オーク・バンクシェアーズ
Live Oak Bancshares Inc
ティッカーコード:LOB
上場市場:NASDAQ
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/LOB
今回紹介するライブ・オーク・バンクシュアーズ社(以下ライブ社)は、特定の事業に特化した、中小企業向け貸付銀行です。
米国ではリーマンショックの影響で、銀行が貸し倒れリスクが高い中小企業への貸付を減らしています。(絶対金額は増えていますが、対GDPでは減少)そして、この「隙間」を埋めるために、フィンテックや貸付ファンド、そして中小企業専業の貸付金融機関が増えてきました。
ライブ社は、「中小企業専門の貸付銀行」のリーディング企業で、高成長している銀行です。
中小企業の資金需要は高いため事業機会は多いのですが、もちろん「貸付リスク」が高いビジネスとなります。このような事業環境で成長するためにライブ・オーク社は、「専門家主義」「IT化」「サービス提供」という3つのアプローチを採用しています。
1.専門家主義
同社の場合、業界を絞って融資を行っています。専門家が理解できる事業だけに融資するためです。当初は、獣医や歯医者に絞っていましたが、現在では、農業、医薬品、ヘルスケアといった産業までカバーするようになってきました。
また、「工務店」等に対して、建設の途中に「建物の完成プロセスに応じた融資を行う」ローンを提供しています。
2.IT化
中小企業はもともと現金資金が乏しいため、「早急に現金が欲しい」というニーズがある一方、「必要書類等の準備を行うスタッフ等が十分でない」という性格を持ちます。このため、ライブ社では融資決定の迅速化を進めるために積極的にIT化を進めています。
また、融資決定の迅速化(顧客のメリット)+貸付リスクの低減(ライブ社のメリット)を達成するために、SBAローンやUSDAローン(政府機関保証ローン)を積極的に活用しています。
日本の中小企業が融資を受ける場合に、信用保証協会の保証を受けることで返済リスクを軽減して、金融機関から融資を受けます。米国も同様に、政府機関であるSBA(Small Business Administration:米国連邦中小企業庁)やUSDA(United States Department of Agriculture:米国農務省)が保証を行うローン(=SBAローンやUSDAローン)があり、比較的高額の融資を、比較的低い金利で受けることができます。
しかし、政府機関保証ローンの難点は、「一般の融資に比べて、手続きに時間がかかり、提出すべき書類等も増える」ことです。
このため、ライブ社ではIT化により「申し込み~融資決定までのプロセス」を透明化+迅速化することで、これらの政府保証ローンの活用に成功しています。2020年において、全米で最大の政府保証ローンの提供者の一社となっています。
3.サービス提供
これは1の専門家主義とも連動しますが、「業界についてよく知っている専門家が、企業の経営サポートをする」サービスの提供につながっています。
様々な勉強会の開催や経営アドバイスなどをすることで、融資先の経営状況を改善させ、貸し倒れリスクの軽減+顧客の囲い込みを図っています。
上記の3つの戦略が功を奏し、ライブ社は高成長を続けており、株式市場の評価も上々です。
金融機関の場合、景気の循環により利益が大きく振れるため、PBRを使った方が市場での評価を比較しやすくなります。例えば2021年5月20日時点での、大手商業銀行のウェルズ・ファーゴは1.02倍、投資銀行のゴールドマン・サックスは1.87倍です。ちなみに日本の三菱UFJフィナンシャルグループは0.47倍、日本の地銀の多くは0.2倍台です。
これに対して、ライブ・オーク社のPBRは4.41倍と「銀行」としては破格のPBRであり、同社に対する市場の「成長期待」をあらわしています。
バイデン政権は、大手IT企業から中小企業への傾斜を強めています。このため、一段と多くの中小企業サポート政策が期待されています。経済回復+中小企業振政策という追い風を受けるライブ・オーク社は、今後とも高い成長が期待されると思っています。
会社ウェブサイト
https://www.liveoakbank.com/
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