アメリカ成長株:コーニット・デジタル(Kornit Digital)
コーニット・デジタル
Kornit Digital Ltd
ティッカーコード:KRNT
上場市場:NASDAQ National Market System
業績についてのリンク
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/us/annual/KRNT
衣食住という言葉があるように我々の生活は衣服なしには成り立ちませんが、ほぼ全ての衣料品は様々な色や柄に染められていて、製造には“染色”が欠かせません。
実はこの染色には濃い染色液に漬けて何度も水洗いする工程があり、大量の水を消費し有害な排水を流していることに批判が高まっています。
解決策としてロゴや柄を印刷したシールを貼り付ける方法もありますが、ゴワゴワする、剥がれやすいなどの欠点を抱えていました。
そこで登場したのがインクジェットプリンターを使って布に直接“印刷”する技術です。プリンターによる印刷は従来の染色と比較して
・大量の水も必要なく排水も出さない
・必要な分だけ製造できる
という特徴があり、これは環境負荷を下げることに大きく貢献します。
今回紹介するコーニット・デジタル社は衣類やカーテンなどの布地に柄やロゴを印刷するテキスタイルプリンターとガーメントプリンターを米国、アジア太平洋、ヨーロッパ各国を中心に世界100カ国以上の地域で製造・販売し、消耗品やソフトウェアのサービスを提供しています。
テキスタイルプリンターとはカッティングする前の大きな生地に印刷するインクジェットプリンターで、主に大ロットの発注が対象となります。
ガーメントプリンターとは縫製後の衣類に一着ずつ印刷するもので、小ロットやオーダーメイドの発注が対象となります。
同社が開発した“NeoPigment”は表面に吹き付けるタイプの顔料系インクで、繊維に染み込ませる染料系と違って布の材質を選ばずどんな布にも使用できます。
また、有害な成分を含まず環境に優しく人体にも害がないことも売りになっています。新型コロナウイルスのパンデミックによって店舗販売を中心とするアパレル産業が大打撃を受けたことは確かですが、この流れはかなり前から始まっていてコロナ禍で加速したというのが現状です。
しかし、その裏ではネット通販によるアパレル商品の売上が倍増するなど意外に好調であり、衣類自体の需要が減っているわけではありません。コロナワクチンの接種によって行動制限が解かれ通常の生活に戻りつつある国も出てきており、外出の機会が増えるにつれて衣料品の売上が回復・上昇基調にあります。
2017年には通販大手のAmazonが同社のプリンターを大量に購入し、注文が入ってから衣服の印刷を行う“オンデマンド印刷”をスタートさせました。
これにより製品自体にはノータッチでデザインだけを売ることが可能になり、個別の店舗が在庫を抱える必要がなくなって低コストで効率的に衣類を販売できるようになりました。
最近は「ESG」によって、下請け先の人権、労働、環境の状況まで問われるようになり、インドや中国の安い労働力に依存する多くのアパレル企業にとっては頭の痛い問題となっています。
同社が提供する印刷技術は途上国の染色工場に頼らずに低価格の衣服を製造するためには欠かせないもので、その重要性は今後一段と増していくことになるでしょう。
会社ウェブサイト
www.kornit.com
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