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アメリカ成長株:ディスク・メディシン(Disc Medicine):鉄代謝調整役の開発

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アメリカ成長株:ディスク・メディシン(Disc Medicine)の概要

ディスク・メディシン
Disc Medicine Inc
ティッカーコード:IRON
上場市場:NASDAQ National Market System

業績についてのリンク
https://finance.yahoo.co.jp/quote/IRON/performance

ディスク・メディシン社は、血液成分である赤血球に関連する疾患のための治療薬を開発し、商業化を目指しています。

赤血球は体内で酸素を運搬するという重要な機能を担っていて、酸素との結合には“ヘム鉄”という酸素結合部位が必須です。ヘム鉄は、鉄の原子と環状の有機分子が結合した複合体で、赤血球のヘモグロビンに含まれています。
同社はヘム鉄の生成と機能に関わるヘムと鉄、それぞれの代謝経路を調節することで幅広い血液疾患に対応しようとしています。

具体的な臨床開発プログラムの現状は以下のようになっています。

1.ビトペルチン Bitopertin(ヘム生合成調節剤)
対象疾患:赤血球性プロトポルフィリン症(EPP)、X連鎖型プロトポルフィリン症(XLP)

原因と症状:プロトポルフィリン症はヘム鉄を造る酵素の異常によって、ヘムの元になるプロトポルフィリンが蓄積する遺伝病で、日光にあたると現れる皮膚の痛み、灼熱感、紅斑、水疱を引き起こす。

作用メカニズム:ヘムの原材料であるグリシン(アミノ酸)の細胞内への取り込みをビトペルチンによって阻害することで過剰なプロトポルフィリン生成を防ぐ。

開発状況:EPPおよびXLPについて、2025年9月に加速承認を目的とした新薬承認申請(NDA)が提出され、FDA(米国食品医薬品局)の国家優先バウチャーパイロットプログラム(画期的な新薬に対する優先審査)に採択され、審査期間が1~2ヶ月に短縮される見込み。

2.DISC-0974(ヘプシジン抑制剤)
対象疾患:骨髄線維症(MF)に伴う炎症性貧血

原因と症状:炎症によりヘプシジン(鉄の吸収を抑えるホルモン)が増加し、鉄の利用が制限されることで貧血を引き起こす。

作用メカニズム:ヘプシジンを抑制する抗体であり、鉄の利用を高めることで赤血球の産生(造血)を促進し、貧血の改善を目指す。

開発状況:MF貧血では第2相臨床試験が進行中であり、初期の第1相試験でヘプシジンの抑制と鉄の増加が貧血の臨床的改善につながることが示されている。

3.DISC-3405(ヘプシジン誘導剤)
対象疾患:真性多血症(PV)

原因と症状:遺伝子の変異によって骨髄中の造血幹細胞が過剰に刺激されて赤血球が異常に多く作られる、貧血とは逆の特徴を持つ多血症。

作用メカニズム:ヘプシジン(鉄の吸収を抑えるホルモン)の生成を抑える酵素を阻害する抗体であり、ヘプシジンを増やすことで鉄の吸収をブロックし、赤血球に必要な鉄の利用を制限する。

開発状況:PVにおいて第2相臨床試験が開始されており、初期データは2026年に公開予定。

最も開発が進んでいるビトペルチンは臨床開発段階を終え、市場投入の最終段階に入っています。
対象疾患のプロトポルフィリン症は、患者の生活の質に大きな影響を与える稀な血液疾患であり、患者の57%がステロイド治療、30%が麻薬治療を受けているなど、対症療法しか手がなく、アンメットニーズ(満たされない医療ニーズ)が高い状態です。
こうした状況から、疾患原因に近い部分に直接作用するビトペルチンは、医療業界から大きな期待が寄せられており、一日一回錠剤やカプセルを飲むだけで辛い症状を緩和するビトペルチンを患者も待望しています。

このビトペルチンは同社にとって基幹となる資産であり、承認後の商業展開が成功すれば、後に続くDISC-0974やDISC-3405の開発資金を確保し、血液疾患領域でのリーダーシップの獲得に向けて勢いがつきます。
そうなれば、同社は単一の稀少疾患治療薬を提供する小規模のバイオテクノロジー企業から、血液疾患領域における鉄代謝調節薬を開発する代表的企業へと地位を上げることができます。

また、ビトペルチンがFDA承認されたタイミングで、大手薬品会社による買収の可能性も一気に高まります。
これは、ビトペルチンが希少な血液疾患市場における最初の治療薬として、承認と同時に安定した収益基盤を提供できるようになるためです。
それに加えて、いずれも臨床試験の第2段階に差し掛かっているDISC-0974やDISC-3405といった、複数の適応症で開発プログラム拡大の可能性を秘めた次の資産を一挙に入手できることになり、これも大きな魅力です。

ヘム鉄の生合成経路を直接標的としたビトペルチンが成功すると、根本的な原因に最も近くアプローチする、初の経口薬となります。
これは、ヘム鉄代謝調節薬という新しい治療薬クラスを製薬業界に確立します。
ヘム鉄が発症に関わる疾患は多岐にわたっていて、この新しいアプローチの治療薬の確立は今後、同社が主導権を握る形でその他の様々な適応症への展開が期待されます。

会社ウェブサイト
https://www.discmedicine.com/

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